20話 ページ21
side.A
「ご馳走様。」
俺以外誰もいない自宅で昼食を済ませ、手を合わせて挨拶し、静かに呟く。
窓の外は雲ひとつない晴天で、カーテンの隙間から差し込む優しい光が昼食後の眠気を誘う。
PCデスクの背の高い椅子にもたれかかり、うとうとしながら午後の仕事のことを考えようとするが、どうしても盧笙の事が浮かんでくる。
目を瞑り、彫刻のように整った顔を瞼の裏に映し出したその時、
LINEの通知音が爆音で鳴り響く。
「うっわビビった………盧笙？」
スマホを覗き込むと、盧笙からのメッセージだった。
通知をスワイプし、返事を打ち返そうとしたところで、急に画面が切り替わる。
真っ暗な背景に、着信、”盧笙”の文字。
『A、お前今家か？』
「そうやけど、どしたん？」
『再来週に校外学習が予定されとって、それの下見に今キョウトにおるねん。』
「え！？そうなん！？って、来るんやったら事前に連絡くれたら！………あれか。1人じゃないんか。」
『いや？1人やで。ちょっと脅かしたろ思て黙っとった』
受話器の向こうの盧笙がくすりと笑う。
可愛い事をするなと、俺も釣られて口角が緩む。
『せやけど、ちゃんとした下見は明日にしよう思とって…
今日ちょっと会えるか？』
盧笙が俺に会いたがってる…！？
会えるよ〜！会えるに決まってるやん……！
内心お祭り騒ぎ状態だったが、無理矢理上がりきった口角を下げ、相手には一切見えていないというのに、澄まし顔で「おん、会えるよ？」と返した。
午後の仕事はそっちのけ。自営業で良かった…と、通話が終わってからスマホを握りしめてひしひしと感じる。
盧笙とは適当な場所で合流をし、歩いていて目に留まった喫茶店に入り少し話した後、晩は何を食べるかという話になり、盧笙が「おすすめの店ないん？」と聞いてきたので、お気に入りの馬刺しが美味しい店を予約した。
店に着くなり2人して生中をハイペースで飲み干す。馬の形をしたプレートに部位ごとに盛り付けられた馬刺しを見て、盧笙が笑顔で「ウマそうやな！」と一言。
「馬だけに？」と言えば「どつくぞ」と返された。
***
すっかり気分が良くなった俺らは店を出てすぐ近くのバーに行こうと歩いていたが、
ふと今回盧笙がキョウトにきた目的を思い出し、
この後は適当に酒を買い俺の家で飲まないかと誘った。明日の下見のコース決めも兼ねて。
盧笙もうっかりしてたわと、笑い合いながら、ネオンがギラギラ光る街を後にした。
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柊(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます！励みになります(＞＜)！ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)！ (5月5日 1時) (
レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです！繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…！甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜！ (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
粽(プロフ) - メガネｸﾝさん» コメントありがとうございます！ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネｸﾝ - この作品めっちゃ好きです！更新頑張ってください！ (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2023年3月20日 5時
