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18話 ページ19

side.A


「…もう一組布団買っとくわ。」

つまり、つまりそれは……とあらゆる想像を膨らませていると、盧笙は少し笑いながら「来客用に〜」と続けた。

「あぁ、あー!来客用な!昨日みたいにもしもん時とかにな!うん。」

動揺しまくりの俺をみて「なに暴れてんねん」と盧笙がニヤニヤ笑う。
それから2人で少し遅めの朝食をとり、母に電話をかけ直さなければならないのもあって、昼前には盧笙の家を出てキョウトへ帰った。

自宅に着いてから、受話器越しの母と交わす会話の中で、あの見合いの日から早くも4ヶ月が経とうとしていると言う事を実感させられた。盧笙と過ごした日々や、会話を思い返して胸が熱くなる。しかし、母の耳障りな小言ですぐに現実に引き戻され、大きめの溜息を漏らすと、一層キツめの小言が返ってきて心底うんざりした。

『本気なんやったら辛気臭いことしてんと、さっさと籍の話しぃ!あっちのご両親も待ちくたびれたはるわ今頃!』

いや、俺かて今すぐ盧笙と結婚できるもんならしてるよ。
けどなんでそれを親に急かされなあかんの。
…俺らハタチ超えた良い大人やで?

事実、両親があの場を用意してくれたから、盧笙との今があるし、偉そうに反論などすれば、誰のお陰でと返ってくるのは安易に想像できた。確かにそこには感謝している。だがそれでも言い返す口が止まらない。

「俺らにだって色々事情あんねん!!ほんまにほっといてくれ!ほんでなんべんも言うてるけど家は継がん!………盧笙と一緒になってもや!」

そう吐き捨て、一方的に通話を切る。

頭に血が上り、上がりきった息を整えながら、両親達の思い通りになるのはごめんだと強く思った。俺は盧笙に対して本気でも、盧笙はこちらと結婚はおろか、付き合う気さえないだろうに。母の事だから、すぐ父に俺との事を話すはずだ。大袈裟に話を盛り、最終は盧笙の両親の耳にも入るだろう。

俺は本気だと、
俺の口以外から盧笙に伝わってしまうのも時間の問題だ。

まずい事になったと、ベッドに寝転んで天井を見る。

ふと思い立ち、ネットでお見合いからプロポーズまでどのくらい時間をかけるものなのかを調べると、見合いから4ヶ月が目安だと書いてあり、もしも盧笙も初めからこちらに気があれば、今頃はそんな話になっていた可能性もあるのか…と思えば、昨日の夜のことがフラッシュバックして、小指がジンジンと痺れた。

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設定タグ:ヒプノシスマイク , 躑躅森盧笙 , 男主   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます!励みになります(><)!ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)! (5月5日 1時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです!繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…!甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜! (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - メガネクンさん» コメントありがとうございます!ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネクン - この作品めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年3月20日 5時

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