16話 ページ17
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このまま永遠に盧笙の寝顔を眺め続けていたい気持ちもあるが、やはりここで寝っぱなしにさせるのはよくないと、なんとか起きてもらえないか考える俺の手は、無意識に盧笙の頬を人差し指で突いていた。
眉間に少しシワが寄って、長くて量の多いまつ毛がピクピク動く。同時に寝息も一瞬止まった。
慌てて腕を引っ込め、深い寝息が再開したのを確認してから、ゆっくり盧笙の手の横に自分の手を添える。自分の小指と盧笙の小指をそろりと擦り合わせると、指先からビリビリと電流が走るような感覚があった。
そのまま、自分の小指を引っ掛けたり、撫でたりしているうちに、自分の息が少し上がってきている事に気が付いた。
一瞬にして冷静になり、小指を解く。
〜〜なっにをしてんねん俺は…!ただのセクハラやぞこれ!!
先ほどまでの自分の行動を誤魔化すように盧笙の肩をかなり強めに揺すって何度も名前を呼ぶと、やっと唸り声を上げて目を覚ました。
「んぇ、すまん、寝てた!?」
「か、風邪、ひくで……」
「あぁ……、あかんわ。眠すぎや。A、帰るか?」
「終電とっくの昔に無くなってもうた」
「せや…な…。ほな俺、ここで寝るからお前布団で寝ぇ」
へ?盧笙の布団に俺が…寝る──!?!?
「いやいやいやええって!盧笙が布団で…」
俺の言葉を遮るように立ち上がる盧笙。そのまま寝室へ行き、襖の奥から肌布団を引っ張り出してこちらに戻りソファに寝そべる。背もたれの方に顔を向けて「おやすみ」と一言呟き、ピクリとも動かなくなった。
あまりのスピード就寝に唖然と盧笙を見つめる。
俺が布団で寝やすいように考えての行動だろうか。
ここは盧笙の優しさに甘えるべきか…。
日付ももう変わってしもてるし、ごちゃごちゃやるよりちょっとでも寝た方がええか。
『ありがとう。ほな布団借りるな。おやすみ…』と声をかけ、静かに寝室へ移動して、ゆっくりと布団に入る。
…盧笙はいつもこの布団で寝てるんや。
感情が無茶苦茶になった俺がやっと寝つけたのは、
薄いカーテンから青い光が透けて見えるようになってからだったのは言うまでもない。
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柊(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます!励みになります(><)!ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)! (5月5日 1時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです!繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…!甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜! (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
粽(プロフ) - メガネクンさん» コメントありがとうございます!ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネクン - この作品めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2023年3月20日 5時