12話 ページ13
side:A
盧笙と毎晩通話するようになって今日で6日目になる。
──盧笙と寝落ち通話がしたい!!
なんでもいいから適当に理由をつけてでもどちらかが寝るまで通話を繋げ続けたい。あわよくば、盧笙の寝息なんかが聞けたら最高だなと想像して顔が熱くなる。
いつものように一緒に飯食って風呂を済ませた後、酒を少し飲み、布団に入るタイミングで盧笙が、『ほな切るで?』と言ってきた。
「…盧笙、」
『?、どないしたん』
「あんな…寝れへんくなんねんな…切ったら。」
『切ったらて、…通話切ったらか?』
「なんかな、昨日も一昨日も切った瞬間酔いも目も覚めてしもて。寝たん2時頃。」
『おん…』
「……やし、このまま俺が寝るまで繋げといて!寝息立て始めたら切ってええから!」
『おお……わ、わかった。』
てっきり一度は断られるだろうと思っていたので、すんなり了承してくれて驚いていると、スマホの向こうからギシ…と盧笙がベッドに乗り上げる音が聞こえてきた。続けて布団に入りゴソゴソとシーツが擦れる音なんかも聞こえてきて、ただ寝るだけだというのに、ごくりと唾を飲み込んだ。
『…A?…寝えへんのか?』
囁くような優しい声が鼓膜から全身に響き渡る。
「あ…ごめん、寝る寝るっ」
俺も急いでベッドに乗り上げ、枕元にスマホを置き、横になった。とりあえず冷静になる為に掛け布団を頭まで被って一瞬目を閉じる。暫くしてからそっと顔を出して、スマホの方に「おやすみ」と囁いた。
『ん、おやすみ』
盧笙から”おやすみ”と言われる事は初めてでは無いし、なんなら昨日も通話を切る際に聞いたばかりだが、本当に寝る直前の、どこか艶めかしい”おやすみ”は、刺激が強く、何度も何度も頭の中でループ再生された。
とにかく目を瞑り、夢の世界に入る感覚を掴む為、ゆっくりと深い呼吸を繰り返すが、スマホの向こうから何か聞こえないか気になって仕方ない。
そして数分後、『……スゥ…』と寝息が聞こえてきた。あまりの寝つきの速さに少し口角が緩む。
『…………スゥ………スゥ……んぅ…』
寝息の後にちょっと聞こえた、可愛らしく、柔らかい声。
俺の心臓は破裂しそうなほど激しく動く。
「ろしょ〜…?もうねた?」
小声で問いかけても返ってくるのは寝息だけで、本当に寝付いているようだった。すぐそばで寝ているような気になるほど鮮明に聞こえてくる盧笙の寝息。
俺は幸せを噛み締めながら瞼をぎゅっと閉じた。
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柊(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます!励みになります(><)!ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)! (5月5日 1時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです!繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…!甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜! (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
粽(プロフ) - メガネクンさん» コメントありがとうございます!ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネクン - この作品めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2023年3月20日 5時