【男主】見合い相手が超絶タイプだった【躑躅森盧笙】

10話 ページ11

side:盧笙


今日から担任を受け持って初めてのテスト期間。

…生徒も頑張るんやし、俺もシャキッとせんとな。

帰宅ラッシュの混み合う車内で吊り革を握り、窓の外の茜色を眺めてると、ポケットの中のスマホが震えた。
『新着メッセージがあります』の通知をスワイプすると、今週末も飲まへんかとAからLINEが入っていた。

流石にしっかりテストの準備をしたいと思い、今回の誘いは断ったけど、アイツの陽気な顔が俺の返事でしゅんとした顔になるのを想像したら申し訳ない気がして、帰宅後の明日の授業の準備やテストの問題作りをする時間に少し通話を繋げて話すくらいならええから暇ならかけてこいと誘ってしまった。

今思い返せば、そんなんせんでも普通にテスト期間明けに飲みに行こで良かったのに…と自分のわけわからん誘いにモヤモヤしてしまう。

Aは誘ったその日から、月火水、と3日間毎日通話をかけてきた。
そして今日は木曜。
俺はテストの問題作りに集中してノートPCのキーボードを叩き、その横にはスピーカーをオンにしてAと通話を繋げたままのスマホ。
誘った当日は集中しながらもちょこちょこ会話をしていたが、4日目ともなると特に会話もなく、本当にただ繋げてるだけの、作業通話になっていた。

集中の甲斐あって、長めの文章題を2つも書き上げることができた。あまりにも静かに作業してたな…と思った俺は、こんな喋らん通話おもろいか？とAに聞いてみた。Aはおもろい言うてるけど。

俺は友人ともこんな通話の仕方をこれまでした事がないし、喋らんのに繋げとく意味ってあるんやろかと毎回思う。でも、こいつが通話をかけてくると自然と取ってしまうし、日課のようになっているのか、帰宅して一息つくと、Aから通話かかってくる前提で準備してしまっていて…なんなんやこれ。

そして昨日までは、作業がひと段落したところで風呂に入り、晩飯を食べ、俺から通話を切ってたが、今日は風呂上がりの酒に付き合ってもらいたい気分だったので、このまま通話繋げとくか聞いてみると、即頷いてきた。
一緒に食事をとり、通話が繋がったままのスマホをリビングの机の上に置きっぱなしで、風呂場に来た。

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