「全てを治す」「オーバーヒール」2 (ページ38)

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OVER ページ38

「そうね。一つ、良い提案があるわ。」
「良い提案ですか？」
「はい。私の血。私の個性、オーバーヒールは、全てを治す。」

腕を曲げて手を握る。
癒の顔は、しかめっ面になっていた。
それと共に、怒りを抱いていた。
少し昔の事を思い出してしまったのだ。

「あの時、兄を止めていて居ればこうにはならなかった。」
「よせ、過去を憎んだとしてもう過去には、戻れない。」
「えぇ、そうですわね。この話は、保留にしておいて下さい。彼に、血を味合わせる心持ちなんて、私は、持てませんわ。」

癒は、握っていた手を緩めて、ぶらんと腕を下ろし体育館へと向かった。

「(本当に、駄目だわ。あの方法は、危険過ぎる。私も彼も、死に陥る可能性が高い。)」

あくまでも、縛られない先生。一人の治癒個性保持者として、良い裁断をする事だ。
生徒には、優しくも厳しく生徒から頼られる理想の先生、それが癒が理想とした先生図だ。

「(私は、囚われない。過去にも血にも。私は、私だ。)」