実家にて【ルキ】 ページ1
ルキ・ディアボロスの実家は名家である。
規律には厳しく、親からの締め付けも強い。
そんな実家が、ルキは大嫌いだった。
長期休暇に帰省などしたくもないが「勘当」の二文字を出されれば断る訳にもいかない。
今自分が好き勝手やれているのは家名のお陰もあると十分理解しているからだ。
不機嫌に歯ぎしりしながら向かうしかない。
家に到着したら真っ先に父の執務室へ迎う。そう厳命されているからだ。
扉を三回ノックし、返事を待って入室する。
「帰ったか、ルキ」
どうせこっちの動向なんて把握してやがるくせに何が帰ったかだクソ親父。
と、学園にいるノリで言い放ちそうになるが、グッと堪える。父の機嫌を損ねる訳にはいかない。
にこやかに丁寧に、だ。
「はい、ただいま戻りました。父上」
この綺麗な口調にも蕁麻疹が出来そうだ。
「何か問題を起こしたりはしていないだろうな」
俺そっくりの赤い“眼”でじっと見つめられる。強制的に真実を話させる魔眼だ。
俺はとっくにそれ効かなくなってるんだよなあ、と思いながら殊更ニッコリと笑った。
「ええ、何も問題ありません」
父は物言いたげにじっとルキを見ていたが、やがて書類に目を戻した。
「……まあいい。もう下がっていいぞ」
「分かりました。失礼致します」
一礼して、退出。
たった数分でこんなにもストレスを与えられる父にある種の尊敬を覚えながら、昔散々訓練させられた気品ある歩き方とやらで部屋に歩き出す。さっさと隠れ家に行ってヤニを吸わなきゃ死にそうだ。
ふと、そういや今日はアイツを見てない、と父以上のクソ野郎を思い出す。
まあ会わないってんならそれに越した事はない、そう思い直した。
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作者名:氷渡ミオ | 作成日時:2018年9月14日 23時