19話 ページ19
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やがて、神社から少し離れたところにある大きな木の下にたどり着いた。
ここなら花火もよく見えるだろうと2人で並んで腰掛ける。
ドーンッ
花火が打ち上がり始めた。
空を見上げると、次々と鮮やかな色が弾け飛んで、暗闇に染まっていた夜空を照らしていく。
花火の音と人々の歓声が響く中で、私は湊くんの手を握った。
彼は驚いたように目を見開いたけど、優しく握り返してくれた。
花火が上がる度に、私と湊くんの顔は明るく照らされて、また暗くなる。
その繰り返しの中で、私の中にある気持ちが芽生え始めていた。
好き……大好き……
湊くんが好き……
私は湊くんに恋をしている。
自覚した途端、胸が高鳴って苦しいほどに締め付けられた。
「Aちゃん……」
君の優しい声が、瞳が、温もりが……
私を包み込んで離さない。
湊くんの指が私の頬に触れる。私は静かに目を閉じた。
唇に触れる柔らかい感触に、私の鼓動はどんどん速くなっていく。
初めての感覚なのに、不思議と嫌な感じはしない。
むしろ、もっとして欲しいと思っている自分に気づいてしまった。
しばらくして、ゆっくりと離れていこうとする彼の唇を追いかけるように、今度は私が触れるだけの短いキスをした。
一瞬の出来事だった。
それでも、今の私にとっては精一杯の愛情表現だった。
私の行動に驚いていた様子の湊くんだったけれど、すぐに笑顔に戻って、もう一度だけ、ちゅっと軽く触れ合うようなキスをしてくれる。
それが嬉しくて幸せで仕方がなかった。
ドンッと音を立てて大輪の花が咲き誇る。
花火の光に照らされた彼の顔はとても綺麗で、ずっと見ていたいと思えた。
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作者名：おふとん天使 | 作成日時：2023年7月11日 8時
