17話 ページ17
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Aside
驚いた。
びっくりした。
すぐに返事をしなくちゃいけないと思ったのに…
湊くんはそれを求めなかった。
『夏祭り……?』
「そう、学校の近くの神社でやってるんよ。一緒に行こう?」
彼の優しさに甘えていいのだろうか。
この先、彼に迷惑をかけてしまうんじゃないかと思うと怖かった。
でも、それ以上に彼と居たいという想いの方が強くて…
『行きたい…です。』
私の小さな呟きを聞いた彼は、嬉しそうな表情を浮かべる。
それから数日後、私たちはお祭りに行くことになった。
何を着ていこうか迷っていると、咲ちゃんが浴衣を貸してくれると言ってくれた。
せっかくだから着ていくことにして、私は準備に取りかかった。
薄い桃色の生地に朝顔の柄が入った可愛らしいデザインだった。
帯は紺色で、大人っぽく見える。
髪は下ろして、サイドテールにした。
自分がどんなふうに見えるのか気になって、準備を手伝ってくれた咲ちゃんに感想を聞いてみた。
「めっっちゃ可愛いで!!ほんまにお人形さんみたいやわぁ……あー、写真撮らせてぇ〜!」
褒めてもらえたのは嬉しいけれど、写真を撮りたがるのは少し困った。
でも、喜んでくれているのを見ると、悪い気はしなかった。
不破くんとは、鳥居を潜ったところで待ち合わせをしている。
神社の境内に入ると、大勢の人がいて賑やかな雰囲気に包まれていた。
しばらく待っていると、人混みの中から彼が現れた。
ドクンッ
心臓が大きく跳ね上がるのを感じた。
だって、浴衣姿の湊くんがすごく素敵でカッコよくて……
直視できないくらいにドキドキしてしまう。
でも、私は彼を見つめることをやめられなかった。
そんな私の視線に気付いた湊くんがこちらを見て微笑んでくれる。
それだけで、心拍数が上がっていく。
やっぱり好きだなって思った。
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作者名:おふとん天使 | 作成日時:2023年7月11日 8時