🪽-04 ページ19
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ソレが起きたのは、そんな日々が繰り返されている時だった。
「なぜあいつも連れて行く必要がある」
目前の机に向かって座り、淡々と書類仕事をこなしているエルヴィンにそう言葉を投げた。
「彼女はあくまで調査兵だ。それは、例え中身が変わろうとも変えようのない事実だろう」
奴はこちらを見る事もなく、手元の書類にペンを走らせている。
「そんな事は、てめぇに言われなくても分かっている。前回までは留守番だった人間を、ワザワザ連れて行く理由は何だと聞いてるんだ」
エルヴィンは始めてそこで手を止めて顔を上げた。
「いつまでもそうしているわけにもいかないだろう。本人が経験しなければ何も身には着かない。ヒナコがこのまま戻らない可能性だってある。ならば尚更Aにここでの常識や彼女自身が置かれている立場と言うものを、そうやって身につけさせていく以外にはない」
「使えねぇ奴を連れてったって足手まといになるだけだ」
「……では、このままここに閉じ込めておけとでもいうのか？」
「そうだ。死ぬと分かっている人間を連れて行く必要はない」
「……情でも移ったのか？」
「……」
ヒナコの中身がAになってもう3か月ほど経つ。その間、ずっとAの態度は変わっていない。
当初はうっとおしさもあったが、こうも純粋に懐かれては、ぞんざいにできないことは事実ではあった。
俺の沈黙をどう捉えたのか、エルヴィンは見定めるようにこちらを眺めたあと口を開いた。
「これは決定事項だ。覆すつもりはない。そして、今回の訓練で駄目だと判断した場合は、彼女は所属替えも辞さない」
調査兵団は人手不足。だが役に立たないものを兵団内に置いておくことはできない。
Aが最前線で戦う兵士として使えるかは絶望的だが、書類仕事に関しては目を見張るものがあった。
それはエルヴィンも承知の上だろう。その上でのこの発言ということは、エルヴィンは今回でAを見定めようとしているのだろう。
本当に兵士として使えないのか否かを。
今回のことで、Aがどういう立ち位置になるのかは分からないが、エルヴィンは使えるものをそのままにはしておかないはずだ。
無駄に外に出して危険に晒すより、そっちのほうがこちらとしても心配事が減る。
そう考え、目の前の男に了解の意を返した。
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いぬぬ - 全シリーズ夢中で読みました。兵長の夢小説沢山ありますが、kokubyakuさんのが1番好きです！ストーリーの展開、台詞回しなどがツボで萌えが止まりませんでした。大感謝です！これからも応援してます！ (2023年3月31日 22時) (
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作者名：Kokubyaku | 作成日時：2022年9月7日 17時
