🌕EP.161 ページ23
「ほぅ。・・・どうやら俺の班のヤツらは、どんくさいのばかりだったらしい。・・・通常訓練だけじゃ不十分なようだな」
私が話し終えると、こめかみに青筋をたてながら、鍛え直すかと兵長がそう口にした。
それを聞いた、私達全員の顔が一気に青ざめる。
今日はヒストリアに怒られ、兵長に怒られ散々だ。
それから風呂に入り、しっかりと髪や身体を乾かした私たちは、荷馬車や、風呂までの廊下、風呂場、その他、自分達が汚した所を兵長監視の元、徹底的に掃除させられたのはいうまでもない。
そして、兵長が席を外し、監視が解けた隙を狙ってジャンがポツリと呟く。
「・・・俺達、結局何しに行ったんだろうな。それに何でミカサとサシャの2人だけ汚れてないんだ」
コニーがそれに同調して言った。
「なんだかんだ暴走してた2人が1番被害が少ないなんて、理不尽だよな」
サシャも負けずに言い返す。
「それはこっちのセリフですよ!確かにちょっと暴走したかもしれませんけど、これは狩人の本能です。汚れてもないのに、私まで怒られた上に掃除だなんて・・・」
ジャンは相変わらず、エレンに突っかかりたくて仕方がないらしく、
「そもそも、エレンがこっちに向かってきたのが悪いんじゃないか?」
と言い、ミカサの不興を買う。
「エレンに矛先を向けるのは間違っている」
ブツブツと言い合う皆を横目に、私、アルミン、エレンは黙々と掃除を行う。
「皆、よく言い争う元気が残ってるね」
アルミンが私にだけ聞こえるような小さな声で言った。
うん。でも、アルミン。黙って真剣に掃除した方がいいよ
・・・私は知っている。真面目にやらないと後が怖いのだ・・・イロイロと。
「おい!お前ら、そんなぬるい事やってるとまた────」
エレンの顔が、ある一点を見て、みるみる蒼白になっていく。
まさかと、私もそちらに視線をやる。
へ、兵長。微塵も気配を感じませんでしたが・・・
私は思わず、心の中で呟いた。
「お前ら、どうやらまだまだ元気が有り余ってるみてぇじゃねぇか。そろそろやめどきかと思ったが・・・次は何処を綺麗にしたい?・・・言ってみろ」
いつの間にか、戻ってきていた兵長の一言で散々な1日は、さらに日付までも越えていく。
子供達があの時のクッキーを喜んで食べていたとヒストリアから報告を受け、その日の出来事を私達が、楽しい思い出として語りあえるようになったのはその数日後の事だった。
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作者名:kokubyaku | 作成日時:2019年9月18日 19時