🌕EP.109 ページ8
「成り行きで一度だけだがね。……まあ、君がのんびり寝ている間に、こちらも色々あったと言う訳だ……む、何だねその目は。── 待て！なぜ今、空気撃ちを出す！？」
── はっ、危ない危ない。思わずそのままアーチャーに向けて打ち込んでしまう所だった。
無意識とはなんと恐ろしい。
「君、さては勘違いしているな？……私が料理を振る舞ったのはリヴァイ班全員にだ」
今はそんな事はどうでもいい。急ぐぞ。と言うアーチャーに同意し、サシャと一緒に山小屋に入った。
「A！」
ミカサが駆け寄ってくる。
「もう起きて大丈夫なの？」
「目が覚めたのか！？」
アルミンとエレンが続けて言う。
「お前、大丈夫なのかよ？」
との声はジャンだ。
他にもコニーにクリスタ。そこには暫く会えなかった104期のメンバーがいた。
「マスター」
アーチャーのその言葉に私は振り返り、頷く。
それを確認したアーチャーは粒子を纏い、霊体化した。
「何度見ても奇妙だな」
そう口にしたのはジャンだった
「……それで、A。お前はもう通常通り動ける。と言うことでかまわねぇな？」
リヴァイ兵長のその言葉に、はい。としっかり答える。
そして、団長から託された一枚の紙片を兵長に渡す。
団長からの伝令です
兵長は素早くそれに目を通すと、机の上にあるロウソクで紙片を燃やし、
「エルヴィンからの指示だ。あいつを信じるバカは付いて来い。ここを引き払う」
と言い、椅子から立ち上がった。
それぞれが痕跡を消したり、荷物をまとめたりと、出発の準備にかかる。
「A、……他に無かったのか？」
兵長は私を上から下まで見てそう一言。
何の事か分からず、小首を傾げる。
『その格好の事だな』
アーチャーから念話が届く。
目線を下げて、自分の服を見る。
キャメル色のブレザーにスカート、その下には黒のストッキング。
確かに山道を移動するのなら、この格好は不適切かもしれない。着替えよう。
しかし端末を操作する時は、一応確認だ。
端末の操作自体は魔術では無いが、目の前で服が急に変わるのは奇妙だろうから、団長とハンジさんにしたのと同様に念の為、許可を取る。
兵長、これから魔術を使います
「あ？……なんの為にだ？」
適切な服に変えます
「……そういや、弓兵には言ったが、お前には言ってなかったな。次からその魔術とやらを使用する際、俺への確認の必要はない」
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作者名：kokubyaku | 作成日時：2019年8月6日 23時
