🌕EP.108 ページ7
「能力が低下しているからなのか……そもそも、この能力の低下の理由すらも判然とはしない。この土地のせいか、それともここに留まる制約か……または、その全てが原因なのか……」
と、ひと通り独りごちた後、
「そうなると、もうこの世界を作った何者かでもなければわからないことなのだろうな」
あっ、投げた。
思わず突っ込みそうになる。
「マスター。ここからは、ただ巨人を倒せばいいという訳には行かなさそうだ。……今は必要な時以外は霊体化して、魔力を温存しておきたい。すでに兵士長からの許可も得ている」
その後も、何事もなかったかの様に話を続けるアーチャーに、分かったと頷きで返す。
令呪が1画になった今、私も覚悟を決めなければならない。
もちろん、無駄に死んでやるつもりは毛頭ない。
それからと、アーチャーは続ける。
「今回の事で君も分かっただろうが……君の回復もどうやら巨人化が出来る出来ないに関係なく、この世界の人間に使えばその回復量に応じて、必要以上に魔力を削られるようだ。
その際、君から私に流れてくる魔力量もごく僅かになる。そうなると私自身、いくら単独行動のスキル持ちでも、実体化は1日が限度だ」
口調が徐々に真剣さを帯びる。
「そして、霊体化するという事は、その間、君を守る事が出来なくなる。その事を頭に入れておいてくれ。今回のように長く気を失っていては、“気が付けばあの世だった。”という事もありえるぞ」
分かった。気をつけるよ
こちらもそれに答え、しっかりと頷く。
「結構」
私の返事に納得すると、アーチャーは一度着地し、ランプを投影すると火をつけ、そのランプでなにか合図を送った。
見ると前方で同じように明かりが揺れる。
火を消し、再び私を抱えて木々を飛び移る。
着いたのは一軒の山小屋。町からは随分と離れている場所に建っている。
「アーチャーさん、なにかありましたか？……ってAじゃありませんか？！よかった〜！目が覚めたんですね！」
そう言って、サシャが駆け寄ってくる。
サシャ、アーチャーの事知ってるの？
「はい！2、3度お会いしてますし、一度はリヴァイ兵長から皆さんに紹介もされました。なによりご飯が最高です！」
と若干興奮気味だ。
……へぇ〜。……アーチャーご飯作ってあげたんだぁ……ふーん……
思わずアーチャーを白い目で見る。
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作者名：kokubyaku | 作成日時：2019年8月6日 23時
