乾いた地より見る月はVol.4【進撃の巨人×Fate/EXTRA】 (ページ33)

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🌕EP.134 ページ33

「お前は待機だと言われているだろ、どういうつもりだ？」

　巨人を待ち構えるオルブド区の壁の上に、兵長の静かな声が響いた。

「自分の運命を決めにきました」

　同じく静かだが、力のある声でヒストリアが答える。

「あ？」

「兵士長。私に戦うか、逃げるかを選べとおっしゃいましたね？あの時の答えです。・・・私は戦います」

　そう言うヒストリアの目は、しっかりと兵長を見つめていて、その決意の固さを物語っていた。

　その間にも巨人はどんどんと近付いて来ていて、兵長はそちらを一瞥(いちべつ)すると、舌打ちした後に、

「時間がねぇ」

　と独り言(ご)つ。

「固定砲用意！！」

　ガシャンと巨人に向けて固定砲が傾き、撃てとの号令で砲撃が開始される。

　砲弾が一気に巨人へと飛び、煙が立つ。

　駐屯兵団が操る固定砲の効果を、調査兵団の皆でじっと見守る。

「地上の砲台の方が効いてないみたいだな」

　煙が晴れると、エルヴィン団長が言った。

「あの射角じゃ無理だろう、壁上の砲台だって頸まで届いてねぇ」

　兵長はそう答えると、私の方を向いて続けた。

「A、弓兵はまだ使えねぇのか？」

　すみません。さっきの礼拝堂での戦いで魔力を使ってしまって、回復が追いついていません

　アイテムが使えたら回復ができるのに……

　そんな事を考えるが、相変わらず端末のアイテム欄は使えない。

　何か、他に魔力の回復方法があるようだったが、残念ながらどうすればいいのか教えてもらっていない。

　今は、そんなできない事を嘆いても仕方ない。ここは自分でどう動くかを考えなければ。

　“今の私”に出来る事を精一杯すれば良い。

　考えを切り替えると、自然と頭がスッキリとしてきた。

　駐屯兵団が固定砲を使い戦っている間、私たち調査兵団は、火薬の入ったたくさんの樽をロープを使ってまとめ、それをネットを使って包み込むという作業を行っていた。

　これは固定砲弾では倒せなかった場合に、巨人の口の中に放り込んで、頸ごと吹っ飛ばす為に使う。

　壁の上で私達と一緒にその作業を行なっていたヒストリアに、団長が話しかけた。

「ここを凌(しの)いだ暁には、君には女王になってもらう。だから前線に出てもらっては困る」

　先程の兵長と同じ反応だ。

　確かにヒストリアは女王になるのだから、このような反応になるのは当然だろう。

　それに対し、ヒストリアは作業していた手を止めると、凛とした声で言った。