🌕EP.129 ページ28
敵を追って洞窟の奥へと進んでいると、突然、前方から眩しいほど明るい光が広がった。
── この光は、見覚えがある。
「急げ！」
その声を受け、私達は兵長の後に続く。
光の元凶を追うように更に速度を上げ、洞窟の奥へと進むと、開けた空間に出た。
── そして私の視界の先には、巨人化しかけている誰かの姿が。
激しい熱風に一瞬怯むが、アーチャーの腕で庇われながら、何とか兵長の後を追いかける。
奥には突き出した崖があり、その左右には階段が広がる。その突き出した崖は、まるで生贄を捧げる祭壇の様な形状をしていて、その崖の先端にエレンが鎖で繋がれていた。
エレンの側にいたヒストリアが熱風を受けて、後ろの壁へと吹き飛ぶ。
壁にぶつかる寸前に、ミカサが崖の上へとたどり着き、彼女を受け止めた。
ヒストリアはエレンの鎖の鍵を外そうとしていたらしい。
彼女はミカサへとその鍵を預け、それは最終的に兵長へと渡った。
兵長の後にジャンとコニーとサシャも駆けつけ、私を抱えたアーチャーはエレンの背後の壁際へと私を降ろした。
そして、コードキャストでアーチャーの魔力を強化すると
アーチャー！エレン達のガードを！
と言う私の言葉に、
「仕込みは既に済んでいる。了解だ」
彼はそう答え、エレンと、その拘束を解くため手枷と足枷を外しにかかっていた兵長達の前へと立つと、
「
と唱え、右手を前に突き出した。その手の先には大きな盾、7枚の花弁の花が咲き、大きく開く。
── アーチャーが展開する、それは7枚の壁。その手で受けるどんな攻撃をも無効化する盾だ。
その彼の後ろで、
「どこの鍵だこれ！？」
と言いながら必死で鍵束から鍵を探すコニー。
「急げ！早くしねえと天井が崩落する」
との兵長の言葉の後に、
── パリンとガラスが砕けるような音が響く。
「くっ……兵士長、まだか！？思ったより持たないぞ！！」
右手を突き出したまま、アーチャーは後方の兵長に向け、言葉を投げる。
「やってる。どうにか持たせろ！」
「こちらも本調子じゃないんだ、無茶を言うな！それより、そんな事を言う暇があったら解錠に集中しろ！」
「お前の方こそ、そんな口が
そんな2人の言い合いの合間にも、巨人の熱風によりアーチャーのアイアスは一枚また一枚と割れていく。
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作者名：kokubyaku | 作成日時：2019年8月6日 23時
