乾いた地より見る月はVol.4【進撃の巨人×Fate/EXTRA】 (ページ22)

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🌕EP.123 ページ22

「ある瞬間を境に、突然バカみてぇな力が湧いてきて、何をどうすればいいか全て分かるんだ」

「あります」

　そう、ミカサははっきりと頷く。

　兵長は一瞬その目を見張ると、

「そうか……その瞬間がケニー・アッカーマンにも……俺にもあった」

　静かにそう言った。

　私は兵長の言葉にも、そしてミカサがそれに同意した事にも驚いていた。

　──３人は同類。

　そう考えるとしっくりくる。

　兵長もミカサもありえないほど強い。

　ケニーと呼ばれる人物にもそれは共通しているようだ。

　彼らには何らかのつながりがあるのではないかと思えてならない。

　兵長達の話し合いを傍で静かに聞きながら、そんな事を考えていると、

「お、おい……キシナミ……」

　と、ジャンが私を肘でつついてきた。

　ん？なに？

「お前、そのピカピカ光ってるの何だ？」

　そう聞かれ、彼の指差す先を見ると、胸の内ポケットに入れていた端末が光っていた。

　マントの下だったので今まで気づかなかったが、確かに微かに光がもれている。

　なんだろう？端末が勝手に光り出すなんて……こっちに来て、こんな事一度もなかった。

　セラフでもないのに……

　不思議に思いつつ、ポケットから端末を取り出す。

　数本の松明の明かりが照らす闇の中で、端末は明るく点滅を繰り返していた。

　── 呼んでいる。

　なぜかそう感じて、吸い寄せられる様に端末に触れる。

　礼装覧のある項目が、それとわかるように点滅していた。

　私がセラフにいた時には持っていた覚えのないあのピンク色の眼鏡の礼装だ。

　不思議に思い、それを装備してみる。

　── 認証しました。対人モードへと移行します。

　眼鏡から、機械的な少女の声が聞こえた。

　ギョッとした皆の視線が、一斉に私に集まる。

「いっ、今の……Aの声じゃないよね！？……女の子っぽい声でなんか聞こえた気がするけど……まさか、その眼鏡が喋ったの！？」

　この血走った目。

　つい最近もどこかで見た。

　人とその対象物は違うが、共通して言える事は、

　……怖い……

　そして、何より近い。

　私の鼻先から5センチほどの距離にハンジさんの顔があり、興奮した様子でそう言った。

「落ち着いてください、分隊長！」

　と、モブリットさんが引き離してくれたおかげで何とか一息つくことが出来た。