乾いた地より見る月はVol.4【進撃の巨人×Fate/EXTRA】 (ページ14)

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🌕EP.115 ページ14

二ファさんは着いて早々、実体化していたアーチャーに向かって、

「アーチャー、他に方法はないんですか？」

　と言った。

　どうやら、顔の真横に矢が飛んできたようで、心臓に悪かったらしい。

「残念だが、あれが一番早くて安全な連絡方法だ。安心しろ、絶対に君には当てない」

　その言葉に、彼女はがっくりと肩を落とした。

　私は申し訳なくなり、思わずすみませんと謝る。

　それから二ファさんは兵長に、エルヴィン団長からの伝令を伝える。

　それを受け、兵長が私たちに語ったのは、今の王は偽物で、レイス家が正式な王家だという事。

　そして、今行われている革命の主目的はヒストリアの女王への即位であるという事。

　つまりは、ヒストリアに女王になれと言っているのだ。

「出来ません」

　青白い顔をして言うヒストリアに、

「だろうな、いきなりこの世界の最高権力者になれと言われて、すぐに、はいと言える奴はいないだろ……だが、やれ」

　そう言うと、兵長はヒストリアの襟を掴み上げる。

「逃げたきゃ逃げろ、ただし、俺は全力でお前を追いかけ従わせる。それが嫌なら俺と戦え」

　── 兵長！

　苦しそうなヒストリアを見ていられなくて、私は兵長の腕を両手で掴んだ。

　兵長は、私をジロリと睨むと、手を緩め、ヒストリアを掴んでいる手を離す。

　ドサリと落とされ、咳き込むヒストリア。

　それを見ながら、兵長は続けた。

「……お前らは、隣にいる人間が、明日も生きていると思うか？……俺はそうは思わねえ。

　……この壁の中はクソだ、ドブみたいな臭いがしやがる。

　このクソみてぇな現実を早いとこどうにかしてぇのに……邪魔して来る奴らがいる。

　俺なら巨人が人間を食い殺す世の中より、人間同士の戦争を選ぶ。

　そうすりゃ、少なくとも……人類が全滅する事はないだろうからな。

　だが、それも……俺達がこの世界の権力を手に入れる事で、死ななくていいやつがもっと増えるらしい……結構な事じゃねぇか……

　ヒストリア。どうもこれがお前の運命らしい……そしてお前には従うか、戦うか選ばせてやる。どっちでもいいから選べ……

　……ただし ── 時間がねぇから、さっさと決めろ！！！！」

　兵長が凄まじい迫力で放った言葉が、ヒリヒリするような圧力を持ち、ヒストリアへと投げつけられる。

　そして、

「やります！！」

　ヒストリアはそう答え、女王になる道を選んだ。