I'm a slave for you.【ACCA】【短編集】

終焉の場所で　　【カナリー】　　【ハッピーエンドｖｅｒ】 ページ14

あれから彼女は病院に運ばれ、奇跡的に一命をとりとめた。
だが、どんな奇跡にも代償は存在する。
その代償は、肺だった。
彼女は人工肺のおかげで生きていると言っても過言ではない。
彼女はあの事件があってから、なんだか今を楽しんでいるように見える。
彼女は言った。
「一度生死の境目を経験すると、生きるということがたとえ苦しくても人生楽しまないと。と思うんだよね」
それから1週間後外出の許可が下りたので、僕たちの思い出の場所を巡った。
彼女はとても楽しそうだった。
今まで、彼女が眠っている間の世界は色が無かった。
でも、彼女が隣にいるだけで世界は何万倍も輝いて見える。
色々なところを巡っていると、気付けばもう夜だった。
僕たちは近くのレストランで食事をとった。
そして、ポケットの中から小さな箱を取り出した。
「ねえA。話があるんだけど」
「なに？」
彼女は微笑んでこちらを見た。
「僕はもうこの幸せを離したくない。それに、僕はAと居る時が一番世界が輝いて見える。
だからと言っては何なんだけど、その、僕と結婚してくれませんか？」
彼女は驚きのあまり固まっていた。
僕が「A？」と声をかけると、ハッと我に返ったのか、小さな声で「カナリー」と呼んだ。
「本当に私でいいの？」
「うん。絶対に大切にするよ。だから、安心して」
彼女は泣いていた。
「私でよければ、結婚してください」
僕は彼女を優しく抱きしめ、指輪を付けた。

＿＿＿＿＿＿これからの人生がAにとっても僕にとっても
　 輝けるものとなりますように＿＿＿＿＿＿＿＿

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