今でも許せない事件 ページ2
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「――話をしよう」
そこは、四人で入るには少し小さな部屋だった。正座をしていた彼女は、鶴のような声が耳に入ると、元より伸ばしきっていたような背筋がまたピンと張り詰める。
――後ろには掛け軸。前方にはあからさまに面倒臭いと言いたげな表情をする知り合いが二人。そして、襖の近くに何やら書類を手に、尋常じゃないような笑みを浮かべている少年。
先程の鶴は、彼の事である。名をグラン、と言った。Aは一度も交流が無い為、(彼女曰く、そもそもジェネシスに一番近いと言われている存在と気安く会話なんて出来ない、との事)今世紀で一番緊張をしているようにも見えた。
「こんな狭苦しい所に三人も閉じ込めて、何する気だよ」
「全くだ」
「その様な事を発するとは、神の裁きが……二人とも、グラン様にそんな安々と」
Aの不安など一ミリも理解する気が無いバーンとガゼルは、何時ものように素っ気無く対応をする。また、何時ものように発言を慎ませようとしたAだったが、自分の方が慎むべきだと気付き訂正をする。
「グランで良いよ。君も技術局のエースなんだ、僕達と同じようなものだよ」
「えっと、はい。それで、ご用件は……？」
「……図書館の奥に、物置があるのは知ってるよね。そこに保管してある父さんの陶磁器が、全て割られていたんだ」
グランは少しだけ声のトーンを落として言った。
「その物置って、確か秘密度が凄え高いやつかだよな。俺ら位しか知らないやつ」
「うん、それだよ。僕はその犯人を探しているんだ。こんな事をする奴は、エイリア学園に要らない」
ガゼルとAの瞳が、勢い良く同時に見開かれる。まさか、と考えたくもないような仮定が浮かんでしまったから。二人の杞憂を感じ取ったように、グランは続けた。
「君たちに集まってもらったのは、重要な“容疑者”として話が聞きたいからだ。一応、僕もその中に含まれているけど」
「――つまりお前は、この中に犯人が居るから探し出せと、そう言いたいんだな？」
「理解が早くて助かるよ、ガゼル。早速アリバイを聞きたいんだけど、何か意見はあるかな？」
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作者名：あかねと愉快な仲間たち | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bosyixlcal15/
作成日時：2017年8月13日 22時
