12話 トラウマ ページ15
綺麗な足音が段々と近付いてくる。
隠してしまった手前、今更手を退けにくい。何より、また顔を合わせた途端に悲鳴をあげられ恐れられることが怖い。このまま、気付かれずやり過ごせれば……。
そんな勝手な思いとは裏腹に、近付いてきていた足音は、私の前でピタリと止まってしまった。
「すみません。少しお話しをしたいのですが、よろしいですか」
私しかいない廊下。
おそらく私にかけられたであろう声に肩を揺らす。
『はい…、わたくしに何か御用でしょうか』
(今は顔が見えていないからあちらから話しかけてくださったのでしょうか…？)
お話する相手の顔を見ずに話すのはとても失礼。だが、隠さなければまた同じことになるかもしれない。
顔を覆う手に力が入った。
「……人と話す時は相手の目を見て話すということをご存知ないのですか？」
『申し訳ありません…。無礼なのは承知しています。ですが、きっと見えない方が、よろしいかと…』
「はぁ…いいからそれをやめてください。ハートの女王の法律以前のマナーの問題だ。絵画とはいえ見過ごすわけにはいきません。」
(顔は見えませんが、これは確実に怒っていらっしゃる…！法律についてはよく分かりませんが…。)
『ううっ……では、逃げ出さないでくださいね。』
「逃げ出す？どういう意味です？」
覚悟を決めて目を固く閉じ、少しずつ、今まで顔を覆っていた両手を退ける。
手が僅かに震えているのがわかる。
また悲鳴をあげて逃げられるかもしれないと胸中は不安で満ちていたが、待っていたのは長い沈黙だけだった。
恐る恐る片目を開いてみると、赤い髪の生徒さんは訝しげにこちらを見ていた。
「それで、何故このボクが逃げ出すと？」
＿＿＿＿
順位乗ってる…！？！？って嬉しい反面驚きでいっぱいです。こんな自己満小説にそんな…でも本当にありがとうございます。
どうでもいい話ですがリドルくん登場させるまで5章後編見れない縛りしてました。書くの亀より遅すぎて後編2が配信されましたね。
今から鏡の向こう側に戻ります。わくわく
ラッキーアイテム
ダイヤのキャンディ
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ななし(プロフ) - プリメロンさん» ありがとうございます！そう言ってもらえるとすごく励みになります…！社畜の身なので頻繁に更新することは叶いませんが、これからも息抜きに書いていきたいと思っております (2021年6月8日 17時) (
レス) id: edbe6aadbb (このIDを非表示/違反報告)
プリメロン - ロザリアちゃんが可愛くて大好きです。続きが楽しみです。 (2021年6月8日 13時) (レス) id: b71badc53a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年7月12日 6時
