どんぐりオンザデスク【嘴平伊之助】 (ページ4)

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みっつページ4

伊之助くんは、入学式初日から、かなり目立っていた。

あの顔にあの装備。

さらにあの出生でメディア出演アリと、目立たないわけが無い。

他クラスの私でも初日から名前を耳にしていた。

そんな彼と、初めて話したのは確か五月の頃だった気がする。

昼休みに、一人で木の根元でぼんやりしてたら、伊之助くんがその木の上から飛び降りてきたんだっけ。

「ぅわっ何！？」

ウトウトしてたのに、眠気なんか一瞬で吹っ飛んだ。

頭にはっぱを付けたまま、何も言わずこっちをじろじろ見てくる。普通に怖かった。

「えぇと、嘴平くん？どうしたの？」

意を決して話しかける。

「俺は嘴平伊之助だ！」

「？うん、だから嘴平くんだよね？」

「俺は嘴平伊之助だ！」

これは、名前で呼べって事なのか？

「えぇ…い、伊之助くん？」

どうやらそのようで満足気にフンスッと鼻を鳴らしていた。

「決めたぞ！今からお前を俺の子分にしてやる！」

まじか。

子分って何。

…まあでもこんなに顔が良い人の子分になったら私も石原さ〇みになれるのかもしれない。

そう思って、

「分かった。よろしくね、はし、じゃなくて、伊之助くん」

と、言うと、

「よろしくな、……」

「あ、Aでいいよ」

「A、よろしくな！！」

と得意気に笑っていた。

……赤ちゃんかな？？

ハチャメチャにかわいい。

自分の中で母性が目覚めた気がした。

「あ、さっきから気になってたんだけど、葉っぱ、付いてたよ」

大いなる母の心でそう言って取ってやると、

「ほわほわ…」

「なんて？？」

「…ッ、俺をッほわほわさせるんじゃねぇッ」

ボカッ

「痛っ」

殴られた。

ほわほわって何。