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そんな可愛げのない私に、善逸くんはどうして話しかけてくれるのだろう。
リアクションの薄い、何考えてるのか分からないような私と話すのは、楽しいのだろうか。
「ねぇ、善逸くん」
昼休み、声をかける。
「ん?なぁに?」
善逸くんは今もこうしてニコニコと私を見て、私の話に耳を傾けてくれている。
「…善逸くんはどうして私に話しかけてくれるの?」
自分の発言に、驚く。
本当は、今日の午後の授業の話をしようとしたのに、口から出たのは全く別の事だった。
善逸くんはキョトンとしている。
ああ、こんなこと言って、困らせてしまったかもしれない。
なんでもない、気にしないで、そう言おうと口を開いたとき、
「どうしてって…キミと話すのが楽しいからだよ!」
善逸くんがニコニコと言った。
楽しいから…?
「…善逸くんは私と喋ってて楽しいの?」
「たっ楽しいよ!!Aちゃんと話すのはすっごく楽しい!!なんで!?」
なんで、って、そんなの、
「つまんなそうにしているヤツと話すのは、普通、楽しくないでしょ?」
善逸くんは再びキョトンとしてから、私の目を真っ直ぐに見て言った。
「たしかに、顔には出てないかもしれないけど、Aちゃんがいっつも楽しそうにしてくれてるのは音でわかるよ!」
「音……?」
音ってなんだろう、そう思っていると、善逸くんが教えてくれた。
「ああ、俺、耳がいいんだ。注意深く聞くとその人が何考えてるのかも分かる」
そうなんだ。それって結構すごい事だよね。
「ふ〜ん、じゃあ私が今ラーメン食べたいって考えてたことも筒抜けってこと?」
今は豚骨醤油の気分かな。
「お腹減ってるんだなって事は分かってたけどそこまでは…ラーメン、食べたいんだね」
善逸くんは眉尻を少し下げて笑いかけてくれた。
あ、
「バレちゃった、」
バレたというか、私が勝手に言っただけだけど。
学校から帰ってきて、ベッドに寝転がる。
『Aちゃんと話すのはすっごく楽しい!!』
昼休みの時の善逸くんの言葉を反芻する。
善逸くんは、私と話すことを楽しいと思ってくれてるんだ。
嬉しくて、頬が緩んだ、気がした。
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むいくんガチ勢 - とっても良かったです (2020年11月1日 19時) (レス) id: 161ba2dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろも | 作成日時:2019年8月11日 20時