21話 原作開始前日 ページ23
毎日レイラとの修行を続けること数十年。
たまにギィは遊びに来るたび僕を痛めつけ、夕御飯を食べて帰って行く。
今迄あまり全力で戦える相手はそういなかったらしく、僕は戦えば戦うほど『闘神』の能力で強くなるから楽しいのだそう。
だからって毎回半殺しにしないで欲しい。
まあ、そのおかげでレイラにも剣術だけで勝てるようになったし、色々とスキルも獲得出来たのだけれど。
蒼熾も最近レイラに反撃出来るぐらいには力がついてきた。レイラも以前より更に強さが増しているけれど。
ああそうだ、今から十年ほど前には暴君で恐れられてるミリム・ナーヴァに会った。
彼女は急に押しかけてくると、私と戦えと言うと、此方が何か言う暇もなく襲いかかって来た。何とか策を練って引き分けて最終的に友達になった。
その後、何故僕の所に来たのかを聞くと、どうやらギィが要らぬ事を話したらしく、それで興味を持ってきてみたのだそう。
暇つぶしでお茶菓子を作ってて良かった。
次にヴェルドラだが、今迄起きた事を三年ぐらい前に話した。久々に会ったのでついかなりの時間話し込んでしまった。
……僕も歳を取ったなぁ。前世を合わせると店長の歳を越えているだろう。生憎見た目はあの頃から全く変わっていないけれど。
もう三十年近く魔王クレイマンがあの件の犯人なのか探っているが証拠が見つからない。
当時かなり調べたりしたのだが、名前の一つも出てこない。きっと徹底して情報を秘匿していたのだろう。
いい加減ケジメをつけたいのだが、決め手がなく中々行動に移せていなかった。
「はぁ……」
ため息を一つ零してレイラが淹れてくれていたコーヒーを一口飲む。
美味しい。
食事が必要ない体になってからというもの、以前に増して食事をしなくなった。
蒼熾はたまには食べないといけないが、それも数週間に一回程度だ。
そしてレイラは悪魔なので食事が不要である。
それにより、食事は気分次第でとる程度となったのである。
コーヒーは毎日飲んでいるが。
そうして考え事をしながら寛いでいると、突如知っている巨大な魔素が忽然と消えた。
瞬時にレイラと蒼熾が部屋に入ってくる。
「主様、ヴェルドラ様の魔素が消失したようです。如何なさいますか？」
蒼熾は片膝をついて尋ねる。
ヴェルドラは魔素の放出しすぎであと百年もしたら消失するかもしれないと言われていた。
しかし消失するにも時期的に早過ぎる。
「一旦様子を見て、もし何かありそうなら出向いてみようか。」
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作者名：ミズナ | 作成日時：2019年4月10日 20時
