プリンが12個 ページ12
それから他愛のない会話をしながら喫茶店に入った。
「雰囲気いいよなーこの店」
久方ぶりのレトロチックな店内は何も変わっておらず、心が和らぐ感じがする。落ち着くんだよね、この喫茶店。
ウェイターさんの案内で席に着くと目の前の上鳴くんは早速メニューを広げた。
さりげなく上座に座らせてもらったから少し意識してしまう。
「Aはよく来るんだよね？頼むもの決まってんの？」
『うん。だからゆっくりメニュー見てていいよ』
「さんきゅー！」
こじんまりしたお店ではあるが、メニューの量は多い方だ。目移りしている上鳴くんを見て少し口角が上がる。
サンドイッチも美味そうだけど甘いものもいいよなあ、なんてブツブツ言ってるのがなんだか面白くてたまには人とくるのも悪くないのかもと思った。
家族以外の人と食事するのはいつぶりだろう。人を避けてるから学校はもちろん一人だし、それゆえに友達もいないに等しいから遊びに行くこともない。新鮮な気持ちと不安が混じって頭がクラクラしそうになった。
というか、さりげなく久しぶりの人との外出が異性って…どう言うこと…デートじゃん…
私みたいなのと一緒で本当によかったのだろうか。上鳴くんって友達多そうだし女の子とも仲良さそうだし、出かける相手には困ってないはず…と、ここまで考えてから以前彼に「仲良くなりたい」と言われたのを思い出して思考をストップさせた。
「お待たせ。ウェイターさん呼んでも大丈夫？」
『うん、』
すみませーん、と店内に彼のよく通る声が響いた。
間もなくウェイターさんがやってくる。
「A、先いいよ」
『あ、ありがとう。えっと、カフェオレとプリンお願いします。』
「んじゃ俺も同じのお願いします！」
『えっ』
かしこまりました、ご注文は以上でよろしかったですか。と言うウェイターさんの声が遠く聞こえる。
とりあえず肯定の返事をしたが、あんなにメニューを見ていた上鳴くんが同じものを注文したことがあまりにも衝撃的だった。
『さっき、サンドイッチ見てなかった…？』
「見てた。美味そうだなーって思ったんだけどやっぱ常連のAが気に入ってるやつ食べてみたくてさ。」
『そう、なんだ…』
そこから「いつもアレ頼んでんの？」と会話が広がった。
同じものを選んでくれたのがなんだか少し嬉しかった。
自分の好きなものを認められた気がしたから。まだ感想も聞いてないのに早とちりなのは自覚してるけど。
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とろん(プロフ) - 紺。＠水分補給さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！まったり更新していきますので気長にまっていただけると嬉しいです^ - ^ (2021年10月17日 23時) (
レス) id: 44d692106b (このIDを非表示/違反報告)
紺。＠水分補給(プロフ) - はぅわ…めちゃめちゃ好みです…！なんか、その、(語彙力皆無)とにかくめちゃ面白いし、神作確定ですね！もっと伸びてぇぇぇ！！応援してます！無理のない範囲で更新頑張ってください！ (2021年10月17日 2時) (レス) @page11 id: 8376f1dee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とろん
| 作成日時：2021年10月13日 19時
