【第2章】愛してるって言われても困る。【東京卍リベンジャーズ】

未来 ページ10

膝に置いた拳に力を入れて深く頷いた彼の表情は真剣そのもので、嘘をついているとはとても思えない




それでも未来から来たなんて突飛な話をはいそうですかと信じられる訳もなく、私は曖昧な返事をするしかなかった





しかしそれに構わず彼は話を続けた。自分は今から12年後の未来から来ていて、今までにも何度かタイムリープをしているということ。そして、巨悪化した東卍の抗争に巻き込まれた恋人を助けるためにここに来たということ





彼の話によると、12年後の未来では東京卍會はあらゆる犯罪に手を染める極悪集団で、警察でさえもその詳細を掴めないほどの大きな組織になっているらしい





彼の瞳を見れば嘘をついていないことはすぐに分かる。でも、私には東卍が犯罪に手を染めるなんてこと想像も出来なかった





私達が「一人一人がみんなの為に命を張れるチーム」という志を掲げて作った東卍が、一体なぜそんなことになってしまったのか、検討もつかない






「東卍がそんなことになるなんて…」





「こんな非現実的な話、信じられないと思います。ましてや初対面だし、」




未来の話をしている時の彼は覚悟を決めた、何か大きな物を背負ったような表情だったのに突然気弱な彼に戻ってしまった。信じられる訳ないっすよねと苦笑いしながら頬を掻いている







「全然頭が追いつかないんだけど、君がタイムリープ出来る事と、私に話しかけたのには何か関係があるの?」






彼の話を信じる信じないの前に、私の中で生まれた疑問。仮に彼の言う未来の話が本当だったとして、何故私に声をかけて来たのかが分からない





東卍の巨悪化を止める為にメンバーの一員である私に話しかけて来たんだとしても、何故悩み相談を？





さっきまでヘラヘラしていた彼は、私の質問を聞いた途端に俯いてしまう。その表情からは戸惑いが伝わってきて、余計に訳がわからない。そのまましばらく黙り込んだあと、再び彼は口を開いた







「…未来で貴方は、死んでしまうんです」






「そりゃあ、人はいつかは必ず死ぬものだからね。未来の私が死んでいたとしても何もおかしな事は無いと思うけど」





「自 殺、です」






「え、」

原因→←金髪君

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