好きとはなんでしょう？ KZ恋愛日記

ペンギン ページ47

今、上杉君が隣にいる...

とっても変な感じ。

うれしいけど顔赤くなってないかな？

一人であれこれ心配する。


でもさっきから何も話してないし...

話題何もないし。


「寒いね」とか？

それともあのお友達の話とか！

数学の話...はちょっとできないし。

うーん...

上杉君はどう思ってるんだろう？

そう思ってちらっと横顔を見る。



すると、なんと上杉君とばっちり目があってしまった。

きれいに澄んだ切れ長の目に見つめられ、あわてて右を向く。

あ、あぶなぁ...


な、なんであんなタイミング良く私を見るの？

やっぱり変だった！？

あせっていつも以上に自問自答を繰り返す。


すると。


「なぁ」

「は、はい！」



予想だにしない上杉君からの「なぁ」。

そのせいで微妙に声が裏返ってしまった。

また笑われそう...そう思ったけど。


「お前なんで水族館行きたかったん？」


案外普通に流された。

そういえば最初に水族館に行きたいって言ったのは私。

それには理由があるんだけど...


「え、えっと...皇帝ペンギンみたかったからかな？」

わざとウソをついた。

「ふーん」


上杉君はそう言ったけど、私のウソが見透かされそうで怖かった。

「ま、いんじゃね？」


へ？

「立花、ペンギンみてーだし」


ぺ、ペンギンですかぁ！？

そんなにかわいくないし、愛情深くもないよ。

そういうと上杉君は不思議そうに首をかしげた。


「愛情深い？なんでそんなんが関係あるんだ？」


あ、知らない？

私もこの前知ったんだけどね。


皇帝ペンギンのオスは−２０℃を下回る南極の中で自分の卵をメスが２か月ぐらいかけて餌を蓄えてくる間、温めるの。

５分でもほっといたら凍っちゃうような世界だから絶食しながら、ね。

食べるのはそこらへんにある雪とか氷ぐらい。


だから皇帝ペンギンはとても愛情深くて、世界一大変な子育てをするペンギンとして有名なんだ。


「へー。さすが立花だな。」

目を丸くして言う上杉君。


そ、そうかな？

上杉君に言われるとうれしいけど...


「でも俺は何度も立花の優しさに助けられてるし、お前俺的には...ふ、普通にかわいいと思うし。ほら、若武とかもよく言ってるしなっ！」

最後のほうは早口気味になってたけど、上杉君にかわいいなんて...

お世辞だろうけど思わず顔が赤くなりながらもほころぶ。


上杉君もかっこいいよ？

そう言おうと思った瞬間。


入口に着いてしまいタイミングを逃した彩なのだった。

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