[d/!] エピソード･ゼロ [sh.a] (ページ3)

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彼のチャームポイントの赤いニットの帽子が動く。睡魔が襲ってきたのかな、そう思っていた。けれど彼は、絡め合う指と指を解いて、私の肩を掴んで、少し目じりを下げた。くしゃり、と顔が歪む、そして滲み出る、綺麗な水滴。

「しゃ、シャオロン、どうしたの、」

「っちゃ、ちゃうねん、おれ、なさけないなって、」

「何が情けないの、あぁもう、ほら、涙拭いーーー」

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「一緒に死のうや、A。」

「……！」

「俺、Aを独りにさせたないし、Aのおらん世界で、独りになりたない。」

「いつか死ぬんや、せやったら、Aとふたりで、死にたい、」

……唖然とした。

落胆とかじゃなくて、まさか私が知らないフリしてた結末を、彼が言い出したことに、私と同じ考えを持っていたことに。

彼は大粒の涙をぼろぼろと、今までどこにしまっていたのか、溢れんばかりの涙は、コンクリートに落ちていく。

それを拭う事も、受け止めることも出来なかった。ただひとつ、わかる事は、私の肩を掴む、彼の手が、小刻みに震えていた。

……覚悟は、決めた。

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･

「……いいよ、」

それで君が、救われるなら。