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「いっそバラす？俺らの関係」
壁によりかかった櫻井先輩は、何故だか面白そうな顔つきでそう言った。
「え！？でも」
“社内恋愛は噂になると面倒だし、付き合ってることは隠しとこうか”
告白されたときに、言われた言葉を思い出した。
面倒な縺れ、周りからの冷やかし、秘密な関係の方が好都合
「嘘、冗談(笑)」
寄りかかっていた身体を起き上がらせ、櫻井先輩は私に詰め寄って
私の後頭部を優しく引き寄せた。
今度は長めに唇が重なる。
ドキドキと鳴りやまない心臓に、櫻井先輩はそれを知ってか少し意地悪な顔をした。
「どこでバレたと思う？」
「うーん…」
ぽん、と頭の上に乗った大きな手。
柔らかく滑り落ちて、そっと腰を抱いては
私を机の上にすとん、と軽々しく座らせた。
「あ、第四会議室って」
「え？それ二宮知ってた？」
「・・・かもです」
マジか…と小さく呟いた櫻井先輩は
私の真正面に立ち、グッと顔を近づけて来た。
机に座っているせいか、櫻井先輩を見下ろす形。
いつもと違う見え方に、再びドキッとしたのも束の間
グッと近づいた大きな瞳に吸い込まれそうになったら
畳みかけるように、逃げないようにと腰に回る男らしい腕。
ふっと小さく鼻で笑う顔に、重なると思った唇は触れず
焦らされた、と思った三秒後
「じゃあ今度からは第五会議室な」
左耳に触れた熱と一緒に、甘い囁き。
「今度はバレないように」
心はあなたに溶かされてばかり。
〈 秘密の第四会議室 〉−END−
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年1月17日 18時
