【太宰治】この度タイムトラベルして父が生きてる未来を作ることになりました。誰か異議ある人はてぇーあーげてぇー！

彼の海 ページ11

貴「…ん？」


ゆっくり目を開ける。


真っ暗で何も見えない。


さっきまで、私何してたっけ？なんか、爆発…爆発？



そうだ、爆弾が起動して…！



でも何故？予告では7時間後の筈…。



…違う。


時間を指定したのは犯人。…爆弾の起爆装置を持っているのも犯人。


そっか。




最初からちゃんと考えればわかってたじゃないか。




一番被害を出すにはどうすればどうすればいい？









予告よりも早く爆弾を起動させれば良い。





なんでその可能性を考えなかったんだろう。




…それが分かったところで何かできていたのだろうか。




もう、考えるのも嫌だ。





そういえば中島さんや国木田さんは何処だろう？


暗闇に慣れた目で周りを見渡すと瓦礫の山。


立ち上がろうとすると足が瓦礫の山に潰されているのがわかった。

特段痛いとかでもなかった。痛覚が麻痺してるのかなぁ。

この足はもう使い物にならないな。

しかし、繋がっていることには繋がっているため動けない。



…仕方ない。



近くにあった鋭いガラスの破片で足を千切った。



貴「ッ！」



おっと、最後ら辺ちょっと痛かったかも。



近くにあった棒を杖に歩き出す。



目に見えるのは死体の山。



見るも無残な死体の山。



死体死体死体死体死体死体死体死体。




自分が生きているのが奇跡に思えるほど。




気づけば何処かの海だった。死体しか浮かんでいなかった。




いや、ここは…父と最期に会った場所。





振り返ると砂色の何かが見える。





近づいてみる。





これは…





貴「お父さんの外套…。」




なんでこんな所に…？




裏返すと大量の血液。


外からはただ破れているようにしか見えなかったが流石に内側には血がべったり付いていた。





それを持ち上げると下には少し大きめの石。




文字が見える。




《S.Oda》




何処かで見たことがある…。



そこでハッとする。



そうだ、父を見つけた時寄りかかっていた墓石に書かれていた文字。




その石から目を逸らし外套を見る。




今着ている黒い外套を脱ぎ、父の砂色の外套を着た。




ちょっとぐらい、いいよね？




その瞬間、ぐらり、と視界が廻った。貧血か。




多分足の千切った所からの出血のせいだろうか。




意識が遠退く、そう思った瞬間。




？「君がこの未来を、変えてくれないか？」

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