21話:精霊使い ページ23
Aの手に、具現化された細剣が握られる。
鮮やかな虹色....《奇跡のレイピア》とも呼ばれる、この世でA1人がもつ武器だ。
「《物体破壊》」
レイピアを横に水平に動かす。
その1秒後。
大きな音と共に建物が崩れ、中から慌てたような様子で2つの人影が現れる。
？「ちょ、なに⁈シウネー、結界は⁈」
？「張ってたって！結界が、破られたの！」
言い争いを始める、10歳程度の女の子2人。
「はいはい、仲間割れはしないー」
仕方なく止めに入るA。
？「あ....ごめんなさい！えっと、誰？」
「そっちの名前を教えて欲しいよ」
苦笑するA。2人は、顔を見合わせて頷きあう。
？「私はハミル。こっちの子はシウネー。お姉さんは、能力者？」
ハミル、と名乗る少女に目線を向けて、頷くA。
「私はAA。能力者だよ。2人は、《精霊使い》でしょ？」
Aの言葉に、驚きを露わにする2人。
「後ろ。〈サラマンダー〉がついてきちゃってる」
慌てて後ろを振り向いたシウネーが、尻尾に赤い炎を灯した栗鼠を両手に抱きかかえる。
シ「見えるの....？《精霊》が」
「うん。私にも、精霊がいるから」
そう言うと、立ち上がって右手を前に差し出す。
ハ「うわあ.......」
虹色の光が集まり、ある瞬間に強く輝いた。
その後に残ったのは、翼をもつ少女。その翼は、水を纏っている。
「私の精霊の1人、美海。〈ウンディーネ〉だよ」
シ「み.....う......？なんで、人間の、姿をとるの......？」
理解できない、と首を振るシウネー。
シ「精霊は、ニンゲンが嫌いなんでしょ？.....そうでしょ、サラマンダー！」
怒ったようにサラマンダーを見、そう問う。
『........ソンナコト、無イヨ』
小さく、そう呟いたサラマンダーが、シウネーの腕の中から跳ぶ。
そのまま、Aの所まで歩いて行ったサラマンダーの体が光に包まれ、姿を変えていく。
光が消えたそこには、炎を纏う翼をもつ少年の姿。
『俺たちは、精霊使い、という力を利用して俺たちを戦闘道具のように使う〈ニンゲン〉が嫌いなの。だから俺は、お前たちが嫌い』
吐き捨てるようにいうと、今度はAの方に体を向け、笑いかける。
『俺は紫炎。よろしくな、Aさん、美海』
「よろしく、紫炎」
『よろしくね、紫炎！』
仲間が増えたことが嬉しいのか、羽をぱたぱたと羽ばたかせる。
そんな光景をみながら、やっと本題を切り出すA。
「○○。彼を誘拐したのは、貴方達？」
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作者名：キル・ハーヴェイ | 作成日時：2018年3月14日 13時
