14話:6年前(1) ページ16
『七海っ！』『夏帆ー！』
驚愕に目を見開き、次々に倒れて行く子供たち。
教室らしきその部屋の中で暴れ回るのは真っ黒な闇を纏った龍。
『俺以外に能力者など必要ない！俺は最強のチカラを持つ者だ！俺が、この世の神だ！』
龍の下で狂ったように喚く男。
この男こそが、スクールに浸入した『不審者』である。
その凄まじいチカラに対抗できずに次々と先生や生徒が倒れていく。
『これじゃ...スクールが崩壊しちゃうよ！』
このままいけば、クラス全員が殺られてしまう...という時、1人の少女がそう言った。
その言葉を受けて、もう1人の少女が立ち上がる。
『胡桃！時間を止めて！！Aが来るまで持ち堪えないと！』
『千尋....わかった、やってみる』
龍使いを相手に、9歳の少女が2人。勝機などあるわけがない。....普通なら。
でも、彼女たちにはそれがあった。2人は自分達の待つ人が来てくれるのを信じて戦い続けたのだ。
30分ほど経っただろうか。2人の体力も限界に近づいてきた頃、教室の後ろのドアが勢いよく開いたのだ。
『遅くなった....！2人とも有難う。ここからは私がやるよ！』
その声と共に、胡桃と千尋の体は光に包まれ、跡形もなく消えた。
『何しに来た？ガキが』
挑発するような目でAを見下ろすその男を、9歳のAが無表情で見上げる。
『止めに来たの。貴方のその暴挙をね....』
そう言うと、Aが右手をゆっくりと挙げる。
『《白雪》、《虹夢》、戦闘開始』
その声に呼応するかのように、Aの周りに一頭の白い龍と、虹色に輝く蝶が現れる。
『《水剣》』
Aの瞳が透き通るような蒼色に染まり、同時に左手に水を纏った剣が現れる。
『ふざけんな...9つのガキなんかに負けるかよ...！《コク》、殺れ！』
大きく吠えた黒色の龍が白雪に襲いかかる。だが、一瞬のうちに虹夢のバリアフィールドが展開され、弾き返される。そしてそのまま白雪の放った攻撃によって、コクはあっという間に霧のように四散した。
『なっ......』
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作者名：キル・ハーヴェイ | 作成日時：2018年3月14日 13時
