11話:真実 ページ13
「皆さん...有難うございます！私は大丈夫ですから、皆さん無理しないでくださいね？」
そういって笑みを見せるA。
「それと、そろそろ《解除》しないんですか？」
未だに能力を《開放》している5人に、Aがちょっと笑って指摘する。
○「あ、忘れてた！...じゃあやるよー、『能力解除》！」
全員のチョーカーが白に戻り、瞳の色も元に戻る。
「《転移》は私がやりますね」
Aが名乗り出ると共に右手を挙げる。
「じゃあ行きますね....《転移》」
瞬間で、6人は元の楽屋に戻っていた。
しかし、時計の針は1秒として進んでいないし、○の席に置いてあるコーヒーも湯気を立てたままである。
○「なんか代わりに戦わせちゃったね...ごめん」
「いえ、大丈夫です。これ位は、体力も消耗しないので。
そういった会話をしていると、ふと○が驚いたような声を出した。
○「あれ...？時間経ってない...」
○の言葉に、他の4人もきょろきょろと辺りを見回す。
「《時間凍結》、解除」
○○のすぐ後ろでそんな声がして、5人が振り返る頃にはもう時間は動き始めていた。
○「何...今の」
唖然とした表情で、何とか言葉を絞り出す○○。
「《時間凍結》...そのままです、時間を止めるんですよ、能力者以外の」
○「能力者以外...だからあいつは動けたのか...」
納得したような、してないような微妙な表情で呟く○○。
「海斗は...もともとはそんなにランク高くなかったんです」
唐突に話しだすA。その思い悩むような表情と静かな声に惹きつけられるように5人が耳を澄ました。
「私と出会った頃の海斗のランクは18...スクールの中でも後ろから数えたほうが早いくらいだったんです」
通常、能力者階級やランクは、そう簡単に変わるものではない。
しかし、稀に何かの弾みで大幅に変わることがあるのだ。
ただし、ランク上昇だけでなく、加工することもありうる。今回の海斗の場合は、80以上もランクが跳ね上がっているので、よほどのことがあったと見える。
「あれは...海斗と私が同じクラスになった小等部3年...スクールに、不審者が入ってきたんです」
その言葉に目を見開く○○と○、そして○○。○○と○○は、何が何だか分からない、という表情だ。
○「不審者...そんなに驚くことなの？」
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作者名：キル・ハーヴェイ | 作成日時：2018年3月14日 13時
