４ ページ13
.
大発作を起こし、一時は危険な状態に陥ったものの、二郎達の懸命な処置のおかげで、危機を脱した五郎は、救急搬送から3日後、ようやく一般病棟に移された。
「ごろ。おいら怒ってんだからな」
「ごめんなさい…」
「本当に心臓が止まるかと思った」
「ごめん…」
「もうこんなことは絶対なしだからな」
「はい…」
あの日、たまたま運悪く仕事の打ち合わせで外に出ていた一郎は、自分が家にいれば…と眠る五郎の手を握りしめながら悔やんでいた。
「でも今回は俺たちも完全に悪かった。きちんと確認してなかったのは、俺らの責任だ」
「それは…」
「だから本当にごめん、ごろう。苦しい思いさせて悪かった」
そう言って苦しい表情で頭を下げる長兄の姿に、五郎の頭の中で後悔の念が渦巻く。
自分がいい加減なことをしたばかりに、兄弟たちに多大な迷惑と心配をかけた。
特に双子の兄には、本当に申し訳ないことをしてしまった。
「しろ、本当にごめん。怖い思いさせてごめん」
「本当ですよ……もうあんなことは…二度とごめんです」
「……」
「でも気付いてあげられなくてごめん。ずっと調子悪かったんでしょ？その時点で気付いてれば、こんなことにならなかった」
病室にいる間中、ずっと繋がれている四郎の左手と五郎の右手。
その手にきゅっと力が込められ、そして優しく撫でられる感触に五郎の顔から、少しずつこわばりが取れていく。
「何かあったら、俺にだけはどんな些細なことでも必ず言って。それだけは絶対約束してください、ごろくん」
「ん。分かった」
「じゃあ、今回のことはもうこれでおしまい！ごろくん、早く元気になって家に帰ってきてくださいね」
「こらこらこら！勝手に終わりにするんじゃないよ！」
「そうだよ！まだ終わってないからね！」
その後、いつの間にか病室にいた二郎と三郎にもこってりとお灸をすえられ(特に二郎)再び落ち込んだ五郎だったが、それでも久しぶりに兄弟５人揃ったことが嬉しくて、こっそりと口角を上げる。
そんな可愛らしい末弟の姿に気付いた４人は、ひっそりと目線を交わし合い、誓い合う。
どんなことがあっても絶対に、この可愛い大切な弟は自分たちの手で守る。
今回のような過ちは二度と繰り返さないように、と。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にひひ - とっても面白かったです！ありがとうございました。 (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» お待たせして、申し訳ありません。ご希望に添えたかどうか不安ですが…リクエストありがとうございました。 (2020年7月31日 18時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストです。雨の日に発作が起き家の治療でも治らず病院へ発作が収まり家に帰るとまた発作がというお話をお願い致します。発作はどっちも大きいものでお願いします (2020年7月24日 17時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» ご期待に添えるものが書けるかどうか分かりませんが、それでもよろしければリクエストお受け出来ます。 (2020年7月23日 21時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストいいですか？ (2020年7月23日 15時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はちこ | 作成日時：2020年4月23日 20時
