この世界の終わりには ２【不死川実弥】

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鎹烏の案内の通りにたどり着いた産屋敷邸。


そこにはもう屋敷はなく、爆破後の残骸が残っていた。




お館様は…。




優しい笑顔とお言葉を思い出し、一筋涙が流れた。




悔しい、悲しい。


どうしてこんなことに。




ここに鬼の気配はない。


知り合いの隠たちも集い、とりあえずできることを、と思い
わたしも頭巾をかぶって鎹烏の誘導通りに動く。




みんなは、どこにいるのだろう。


ちゃんと無事だろうか。




『あ、あれ…ここ、どこ？』




隠として近くに住む人の避難を、と思って鎹烏に連れられ動いていたけど、
額に紙をつけられ気付いたら建物の中にいた。




『旅館…？いや、でもそんな。』




見渡す限り部屋。


そして、建物の中には、到着したときとは打って変わっておびただしいほどの、鬼の気配。


周りに他の隠は、誰もいない。



『嘘…どうしよう。』



額についてるこの紙、珠世さんと一緒にいた鬼の愈史郎くんの血鬼術だろうか。




鎹烏「A、着イテコイー！」



みんな、この中で戦ってたんだ。


恐らくこの建物には剣士だけが誘導されているのだろう。




『ちょっと、待ってね。ちょっとだけ。』




正直、動揺している。


着いたとき、鬼がいないことにどこかでホッとしてしまったんだ。


何年ぶりかに鬼と対峙するであろうこれからを考えると、不安で身体が震える。





でも。


そんなことは、言っていられない。




脳内をよぎる大切な人たち。


家族、蝶屋敷のみんな、柱の皆様、炭治郎たち、玄弥くん、無一郎。


そして、実弥。




いつかこうなると、わかっていて毎日欠かさず稽古していたはずだ。


だからこの隊服を着て、日輪刀を持ってきたはずだ。




ここで戦えなきゃ、生き残った意味がない。




頭巾を外し、覚悟を決めて。




『…大丈夫。』




深呼吸をして、前を向く。


刀を握る手に力を込めた。




『みんなはどこだろう…？』




ひたすらに走るけど、時折城自体が動いて廊下に出たり、和室に入ったりを繰り返していた。




時折隊士の小隊と遭遇するが、実弥や無一郎、しのぶちゃんとはなかなか会えない。


鬼ともいまのところ交戦せず済んでいる。




時折入った部屋で無一郎邸や蝶屋敷で関わった隊士の死体を見つけると、心が荒む。


命をかけて頑張ってくれてありがとう、と心の中で祈る。




鎹烏が導いてくれる中で、急に近づいてきた一羽が甲高く叫んだ。

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