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無一郎をそっと床に横たわらせ、祈る。
自分の温かい血がどくどく流れるのを感じながら、
目の前の無一郎の冷たい右手を取り、自分の頬に寄せる。
頑張ったね、無一郎。
無一郎のおかげで勝てたよ。
天国で、大好きな家族に会えているだろうか。
ゆっくり、ゆっくり休んでね。
こっちのことは、大丈夫。
見ててね、きっと終わらせるから。
そしたらそっちで一緒にふろふき大根食べようね。
ふっ、と無一郎の口角が上がった気がした。
オイ、という掠れ声に顔を上げると泣き腫らした目をした実弥がいた。
でも悲しい顔ではなくて、ギラリと復讐に燃える、そんな瞳だった。
『行くの…?』
実「あァ、鬼舞辻の野郎ぶっ殺してやる。」
『うん、絶対に。わたしも追いかける。』
実「…背中のその傷、縫ってやらァ。」
『…え?』
実「深いが自分じゃ届かねェだろ。失血で死ぬんじゃねェ。」
『あ、うん…ありがとう。』
悲鳴嶼さんはチラリとこちらを見て、先に行く、と行ってしまった。
わたしも急がなくては。
ゴシゴシと、涙を拭う。
呼吸で止血を試みたけど、
背中と右腕の切り傷からはなかなか止まらなくて困っていたところだった。
気づいていた実弥はすごい。
実弥に背を向け、そわそわと隊服を脱ぐ。
こんなときなのに、優しく触れる実弥に鼓動が早くなるわたしは、本当にどうしようもないな。
実「…オイ、呼吸を整えろ、止血に集中しろ。」
『すんません。』
深い呼吸を繰り返し、大きい血管から止血する。
よく見たら、結構な傷だ。
年頃の女の子とは思えない量。
でもそれでも戦えた。
とっても微力だっただろうけど、みんなと勝てた。
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金平糖 - うぅ...感動しました... 一気読みしたんですが、一気読みしたからこそ凄く感動しました。こういう系の話には弱いので、、、 (2021年10月2日 23時) (レス) @page45 id: f3f7dadf62 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 不死川の夢小説少なかったのでとても嬉しかったです!出来れば続編も読みたいです、お願いします。一つ…鬼舞辻が鬼゙無゙辻になってたので、そこは直して頂きたいですね。 (2020年12月11日 7時) (レス) id: cedaea8f17 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - ろこもさん» 完結おめでとうございます!素敵な作品でした!実弥と夢主が幸せになれて良かったです(はぁと)ろこもさんも大好きです!ありがとうございました! (2020年8月7日 5時) (レス) id: abbc87cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 我妻ライさん» 我妻ライ様!返信遅れてしまいすみません!絶叫嬉しい限りです!元気が出て頑張れました!!読んでくださりありがとうございます! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - かぼさん» かぼ様!返信遅れてしまいすみません…!一気読みありがとうございます!実弥さんを表す文章力が足りませんが、より好きになるお手伝いができれば嬉しい限りです…ありがとうございます…! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろこも | 作成日時:2020年7月7日 22時