ラブセレナーデ16

6 ページ7

お風呂から上がりリビングに戻ろうとした時に、遥ちゃんと篤人の話し声が聞こえた。





遥「………ねぇ、篤人」


篤「ん？」


遥「結婚、おめでとう」




遥ちゃんの「おめでとう」という言葉に、篤人が小さく笑ったのが聞こえた。


おめでとう。という言葉が、胸の奥に優しく温かく溶けていく。






・






静かにリビングに入ると、「おかえり」と篤人が優しく笑った。





あぁ、その笑顔が好きなの

その優しい心が好きなの


あなたの全てが。大好きなの




こんなに大好きな人と結婚できたという事が今のこの瞬間も嬉しくて、幸せで。

私はまた、泣きそうになる。


温かい気持ちに包まれて、私は『ただいま』と、また笑顔になった。








遥「あ。指輪してない」



私の左手を見て悪戯っぽく笑った遥ちゃんに、『お風呂に入ってたから外してただけ』と、私も笑う。






遥「Aちゃん、指輪見せて」


A『うん 笑』




はめようとした指輪を、遥ちゃんの掌に乗せた。

掌の上の指輪をじっくりと見る遥ちゃん。



「…綺麗」と聞こえた小さな声に、『ありがとう 笑』とまた私は笑う。







遥「ねぇ、篤人。これって、ハリーウィンストン？」


篤「なんでみんなわかんの？」


遥「わかるよ。リングの内側に刻印が入ってるもん」


篤「だから楓達もわかったんだ…」


遥「これっていくらしたの？」


篤「言いません」


遥「ケチ篤人。あとでネットで調べるからいいもん」


篤「調べんなって。ヒマ人だな」


遥「別にいいじゃん」






自分の指にはめようとした遥ちゃんから「もう返せ」と指輪を奪った篤人が私の左手を握り

そのまま自然に私の薬指にはめようとした。



が、その動きがピタっと止まり、篤人が横目で遥ちゃんを見る。







遥「指輪をはめてあげるとか、篤人ってそんな甘い事をするんだね 笑」




楽しそうにケラケラと笑う遥ちゃんをジロリと睨んだ篤人。

そのまま篤人は、私の手の上に指輪を乗せた。







遥「ねぇ、Aちゃん。篤人って、家ではこんなに甘いの？」


A『教えない 笑』


遥「いや、聞かなくてもビンビン伝わるけど。篤人のウザイ程の深い愛が 笑」


篤「…遥。もう帰れ」


遥「やーだね 笑。Aちゃん、篤人からのプロポーズの言葉は？」


A『勿体ないから、教えない 笑』







思い出せなくても、これから知ればいい


ほらね。私の見える世界はこんなにも、キラキラと美しい

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す