ラブセレナーデ16

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「俺も練習に参加するけど、どうする？」


と篤人に聞かれ、私は『篤人がいた場所だから、私も見たい』と答えた。







篤「暑いよ」


A『大丈夫 笑』


篤「退屈しない？」


A『しない 笑』


篤「シャルケ程じゃないけど、見学してる人が結構いると思うから気をつけてね。色々と」


A『うん 笑』


篤「変なヤツについていかない様に」


A『はい 笑』


篤「……ナンパとか、されない様に」


A『されません 笑』


篤「もしされても。絶対に無視する様に」


A『はい 笑』






「鹿島のヤツにも、危ないヤツがいるからな〜」とか「女の子ひとりで見に来てるって相当珍しいと思うから、変なヤツとか寄ってきそうだな〜」とか、運転しながら呟いている篤人に、少し笑う。







篤人がいた街。篤人が第二の故郷と言う街


私はこの街に…









篤「鹿島にAを連れてくるの、初めてだから」






思い出せない記憶を辿ろうとした時に、篤人が答えをくれた。


大切な人が私に答えをくれる

そう。私は、これからたくさん知ればいい。それだけの事







・






鹿島のクラブハウスの少し手前で車から降ろしてもらった。




篤人がいた場所

篤人が選んだクラブ

篤人が大好きな空間



篤人が愛するこの街をもっと知りたくて、篤人の愛するこの街の空気を感じたくて、練習場に続く道をゆっくりと歩いた。







練習場に着いた時には、もうたくさんの選手が練習をしていた。

グルリと見渡すが、篤人の姿はまだ無い。



久しぶりの鹿島だから、お世話になった人と話し込んでるのかな。なんて思いながら鹿島の選手の練習を眺めていると、

しばらくして聞こえた「キャーーーー！」という女の子の大きな声に、篤人が来たんだな。と、すぐにわかった。



「キャーー！」「ウッチーだ！カッコいい〜」と鎮まる気配の無い声援。

篤人は気にする様子も無く、ランニングをしている。






青い練習着しかほとんど見た事がないから、赤い練習着の篤人が、凄く新鮮に見える。



数年前まではあの赤い練習着でこのグラウンドにいたんだな。なんて思っていると、篤人と目が合った。

私を見て小さく笑った篤人の姿に、胸がギューっと苦しくなる。







この胸の苦しさは温かくて、幸せで、愛おしくて

どう表現していいかわからない、心地よい幸せな苦しさ。





凄く好きだな。なんて、たくさんの女の子の声援に包まれながら、篤人を想っていた。

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