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『篤人』
店に入ると俺を出迎えたのは、暖かい空気と俺の可愛い恋人。
俺の姿を見て笑顔になった恋人に、また頬が緩む。
『ここ、初めてだ。何がお勧めなの？』
「…さぁ」
『さぁって 笑。迷い無く、篤人がここに連れて来てくれたのに』
俺も、この店には一回しか来た事無いからね。
しかも俺はいつも日本食の店ばかり選ぶのに、ここは中華料理店。
味は覚えていないけど駐車場と店が少し離れている店を選んだら、ここしか思い浮かばなかっただけ。
駐車場でゴソゴソとアレを一生懸命隠したとは知らずに、Aがメニューを見ながら『どれ食べようかな』と、真剣な顔で考えている。
そんなAを見ながらまた、家に早く帰りたいな なんて考えていた。
『おいしかった。たまには中華もいいね 笑』
店を出た途端、冷たい空気が体を包む。
俺を見上げ笑うAの吐く息は、白くて。
最近は俺ばかり巻いていた黒いマフラーを、Aの首に巻いた。
『大丈夫だよ 笑』
「でも、こっちの方が暖かいから」
『ありがとう、篤人』
「その代わり、Aのそのピンクのマフラー貸して」
『うん 笑』
今までAの首に巻かれていたピンクのマフラーを、笑顔のAがふわりと俺の首に巻く。
鼻を掠めるのは、Aの香り。
思わず顔がニヤけ、マフラーですっぽりと顔を隠した。
『やっぱり、そっちのマフラーの方が寒いよね。ごめんね、篤人のマフラー奪っちゃって』
申し訳無さそうな顔をするA。
「じゃ、暖めて」
Aの手を握り、コートのポケットへ導く。
するとAが『あれ？何か入ってる？』と、言った。
…忘れてた。
こっちのポケットにアレを入れたんだった。
どうやって、この場を切り抜けよう。
『薬の箱？』
…ヤバい。
何故か咄嗟に頭に浮かんだのは、真面目男の顔。
「…長谷部さんの、忘れ物」
『長谷部さん、どこか悪いの？』
「……お尻が、ちょっと」
人間パニックになると、とんでもない事を言うんだね。
なのにAは、『…そっか。大変だね』と、真に受ける。
「…麻也にも内緒ね。誰も知らないから」
『わかってる』
「…よろしく」
…Aが素直な子で、良かった。
Aの手をギュッと握り、駐車場へ急いだ。
俺の後に風呂に入ったAの姿を確認し、コートのポケットから急いでアレを出す。
箱の中身を取り出し、プラスチックのパッケージを一つ一つ切り離している俺は、無意識に鼻歌を歌っていた。
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ぅき(プロフ) - 麻也さんの毛糸のマフラーと帽子のトコロ声だして笑っちゃいました（笑） (2015年6月13日 19時) (
レス) id: 4a1d64e5a7 (このIDを非表示/違反報告)
moe - お話素敵だし、面白いです！これからも楽しみにしてます！ (2014年1月7日 7時) (レス) id: 9b2f89ef4f (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - akさん» akさん、ありがとうございます！まだまだウッチーの愛は、続きます。『ラブセレナーデ7』も今日から始まりました。これからもお付き合い下さい！ (2013年12月23日 15時) (レス) id: 8dc9ee950c (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - みのりんさん» みのりんさん、ありがとうございます。『ラブセレナーデ7』、始まりました！これからもよろしくお願いします！ (2013年12月23日 15時) (レス) id: 8dc9ee950c (このIDを非表示/違反報告)
ak(プロフ) - 楓の気持ちもわからなくないんだけど、蒼のメールがとてもありがたい。追加メニュー至れり尽くせりですね。どれだけ好きなんだまったくー。……待ち遠しい。つぶやく内田さん可愛いなあ。笑 (2013年12月19日 12時) (レス) id: 4833591332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rockin
| 作成日時：2013年11月20日 15時
