ラブセレナーデ6

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『こんなにたくさん、買って来てくれたんだ 笑』
「水買うのにスーパーに寄ったら、偶然見つけたから。ついでに買った」
『ありがとう、篤人』
「ん」
『そうだ。明日翠さんとランチに行くから、一個あげようかな』
「どうぞ、お好きに」
『嬉しい 笑。このチョコレート、本当に美味しいんだよ』
「俺も食いたい」
『じゃぁ、コーヒー淹れるね。ちょと待ってて』
「あ。A」
『なに？』
「…その前に、こっち」



愛しい温もりが、唇に触れる。
唇が離れると、「今日はシャワーだけね。決定」と、篤人がニヤリと笑った。







「内田さんから、お土産もらった？」


篤人がお風呂に入っている間に絢子さんに電話をすると、電話の向こうからは絢子さんの楽しそうな声が聞こえた。



『お土産？』
「そう。昨日私が持って行った、あのチョコレート」
『はい、4箱も 笑。絢子さん、どうして知ってるんですか？』
「知ってるも何も。昨日の夜、内田さんから電話がきたのよ 笑」
『電話？』
「そう。今日Aにあげたチョコレートって、どこに売ってるのって」
『さっき、たまたまスーパーで見つけたって…』
「嘘に決まってるじゃない 笑。あのチョコレート、ケルンのスーパーで買ったのよって言ったら、スーパーの名前と場所を聞かれて」
『へぇ 笑』
「練習場からも片道50分はかかるのに。わざわざ、Aちゃんの為に行ったのね」
『知らなかった』
「内田さんって、面白いわよね。Aちゃんの為なら、いつでも必死だもの 笑」




食卓に飾った花。
冷蔵庫で冷やしてあるチョコレート。
私の耳に存在する、誕生日に贈られたピアス。

お揃いの食器。
お揃いじゃないスリッパ。
赤い自転車。



この家の至る場所に存在する篤人の愛情に、胸が温かくなった。







「シーズンが終わって帰国しても、5月いっぱいは日本で仕事だからね、俺は」

お風呂から上がると、パソコンを見ながら篤人が口を開いた。




『うん』
「咲ちゃんの結婚式の日、長崎にホテル取るから。Aも、一緒ね」
『わかった』
「その後、しばらく静岡行かない？」
『どれくらい？』
「任せるけど。…最低、4日は静岡ね」
『わかった。遥ちゃんに会えるかな』
「さぁ。あ、俺の幼馴染みも会いたがってたから、会う？」
『うん。でも、緊張するかも 笑』
「大丈夫でしょ。じゃ、5日間は決定ね」
『どこに泊まるの？篤人の実家？ホテル？』
「……まだ、決めてない」


私から目を逸らした篤人の顔が、赤くなった。

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