ラブセレナーデ6

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「あ。日本代表のニュースだ」

濱田屋の個室に備え付けてあるテレビが、篤人も麻也も参加している合宿の風景を映した。
公開練習を見に来ている観客の中には、やはり女の子の姿も多くて。

”ウッチー、お誕生日おめでとう”と描かれたボードなどが、至る所に掲げてある。





「さすがウッチー。人気者」
『ね 笑』
「ウッチーがボールを触る度、黄色い声援が凄い。それに比べて麻也は…」
『マヤニスタも大勢いるんだぞって、麻也は言ってた 笑』
「麻也が、名誉マヤニスタに晴とAを任命してやるって言ってたから、断っておいた」
『可哀想、麻也 笑』
「今日、ちゃんと一番に祝ってあげたの？」
『うん。フライングで、23時59分に 笑』
「ウッチー、喜んだだろうね」
『あはは』


ビールを飲みながら合宿のニュースを見ていると、”内田さん”と表示された携帯が鳴った。

「出た、内田さん」
『あはは。出てもいい？』
「待って。私が出る」
『わかった 笑』


一つ咳払いした晴が声色を変えて「もしもし」と電話に出る。
すぐに「なんだ。騙されないか」と、晴が笑った。





「今、Aと濱田屋に来てるんだ。今ちょうど合宿のニュースやってるよ。ウッチー、モテモテだね」

「あ。二人だから、安心してね。亘さんは出張中。この前偶然会って、たまたま聞いた」

「嘘ばっか。Aの事が心配でたまらないくせに」


篤人の声は聞こえないが、からかう晴に圧倒されているんだろう。
そんな篤人の姿を想像し、頬が緩む。



「え？もっと話そうよ。え？ダメ？ケチウッチー」

晴が「やっぱ恋人じゃないとダメなんだって」と、笑いながら私に電話を渡した。




『もしもし』
「…晴ちゃんの勢い、凄いんだけど」
『あはは』
「濱田屋にいるの？」
『うん。私のお誕生日と篤人のお誕生日を兼ねて 笑』
「誕生日じゃなくても、いつも濱田屋にいるでしょ」
『うん 笑。帰国する楽しみの一つだもん』
「…変なヤツに絡まれたりしてない？」
『大丈夫 笑』
「あまり遅くならないようにね。春は変なヤツが湧き出て来るから」
『うん 笑。今日はいいお誕生日になった？』
「…別に。普通」
『っていう事は、いい日だったんだね』
「Aがそう言うなら、そういう事にしておく」
『うん 笑』
「また連絡する。晴ちゃんによろしく」
『わかった』




翌朝の麻也のブログには、選手やスタッフに誕生日を祝ってもらい、照れくさそうな表情を浮かべた篤人の写真がアップされていた。

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