ラブセレナーデ6

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『美味しいね、篤人』


天ぷらを食べる度、Aが俺を見て微笑む。
ビールを飲んでほんのり赤い顔のA。



…可愛い



終始ニヤケている事に気づき、Aを壁際に座らせて良かったと心から思った。






『長谷部さん、ご馳走様でした』
「喜んでくれた？」
『はい。幸せすぎて、言葉になりません 笑』
「良かった」
『エビ料理研究しますので、また是非ご飯食べに来て下さい』
「ありがとう、Aちゃん」



店の外で話す、俺の大切な恋人と座高男。
座高男の相変わらずの爽やかな笑顔を見て、また気持ちに余裕が無くなる。



A。
今、結構ヤバいと思うよ。
顔を赤くして、上目遣いで男を見る。
意識は全く無いと思うけど、その破壊力半端ないからね。
特にその座高男は純情だから、絶対にキュンとしてると思うよ。



そろそろ、俺が限界。


楽しそうに話すAと座高男の邪魔をしに行こうとしたら、Aが先程のクッションの入った紙袋を座高男に渡した。





『これ、家で使って下さい』
「え？」
『今日はたくさんご馳走になったので』
「…」
『うちに遊びに来た時も大丈夫な様に、また作ります』
「大丈夫な様に？」
『はい。長谷部さんには無理のない生活を送って欲しいので』
「…」


紙袋を渡された座高男がキョトンとして、Aをずっと見つめている。




そりゃ意味がわからないよね。
だからAの事を見るのもわかるよ。

でもさ、見過ぎ。
AはAで座高男をニコニコと見ているし。
何秒見つめ合ってるの？


もうダメ。
A、俺だけを見なさい。




「A、帰るよ」
『うん。長谷部さん、本当にありがとうございました』

座高男に頭を下げ、俺の所に駆け寄って来るA。
昨日渡したピアスをしたAが、俺の隣に来て微笑む。




そう。
いつでも俺の隣にはAがいて。
Aの隣には、俺がいて。

それが俺達にとっては、一番自然な事。
この先も、きっとずっと変わらない光景。





助手席に座り、まだ楽しそうに俺を見るA。


「美味しかった？」
『うん 笑』
「そ」
『でもね、』
「ん？」
『昨日のパスタが、一番美味しかった 笑』


幸せそうに、Aが俺を見て微笑む。





A。生まれて来てくれてありがとう。
俺と出逢ってくれてありがとう。
俺を選んでくれてありがとう。



ねぇ、A。
今夜もたくさんたくさん愛してあげるから。
覚悟しててね。




Aの手を握り、アクセルを踏み込んだ。

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