ラブセレナーデ6

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「ダメ。洗い物も俺がやるから」


食器を片付けようと席を立つと、篤人に制止された。
まだ巻かれているマフラーが、また私を幸せにしてくれる。



『ありがとう、篤人』
「座ってな」
『うん 笑』

カチャカチャと食器を片付ける篤人。
キッチンの水を出した時に少し考え、名残惜しそうにマフラーを外した。

その姿を見て笑う私に「…濡れたら、ダメでしょ」と、篤人が真顔で言う。




ねぇ、篤人。
こんなに幸せでいいのかな。
大好きだよ。

篤人がいてくれれば、何も望まない。
だから、ずっと側にいてね。


水を出しっぱなしにしながら洗い物をする篤人に、”愛してる”と、心の中で呟いた。




「よし、終わった」
『ありがとう、篤人』
「今日は、全て俺がやるから」
『うん 笑』
「だからさ、」
『なに？』
「…風呂も、一緒ね」
『ダメ 笑』
「ダメ」
『ダメ 笑』



照れた様にマフラーを再び巻いた篤人に、一つキスを送られる。

”まだお祝いは終わらないからね”


その言葉に、顔がどんどん赤くなった。





篤人が動いた気配で、目が覚めた。

優しく私を抱きしめる腕。
密着した素肌。
幸せそうに眠る表情。

体にたくさん残された、愛された印。
心も体も篤人で満たされた先程の優しい時間を思い出し、また幸せな気分になる。



”愛してる”


心の声が、闇に溶けた。




「内田さんのお陰で、太ったわ 笑」

お礼の電話をかけた時の、絢子さんの言葉。


『ありがとうございました、絢子さん』
「内田さんと私の都合がなかなか合わなくて、結局夜中に内田さんにパスタの作り方を教えて。夜中のカロリーは、なかなか消費しないのに」
『あはは』
「美味しく作れた？内田さん」
『今まで食べたご飯で、一番美味しかったです』
「最高の褒め言葉ね。Aちゃんの為に、一生懸命だったから」
『へぇ 笑』
「本当にAちゃんの事が好きなのね。とても伝わったわ」

絢子さんの言葉に、また幸せが積もる。






『お帰り、篤人』
「…ただいま」


昨日渡したマフラーを巻いた篤人がフっと笑い、私の頭をポンポンと撫でる。
ソファーに座り隣を叩く篤人に従い座れば、すぐに篤人の肩に頭を引き寄せられて。


いつもと同じ、幸せな時間。


篤人の顔が近づいてこれば、自然と瞼が閉じる。
唇が重なるのを邪魔したのは、亘さんからのメール。



”確か、誕生日だったよな。おめでとう。ドイツ時間だったら、間に合ったか？”


不機嫌になった篤人に、深いキスを送られた。

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