ラブセレナーデ6

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夜中に目が覚めた。
視線を感じ隣を見ると、片肘をついて私を見下ろしている篤人と目が合った。


時計を見ると、まだ3時。
試合の後はいつも熟睡する篤人にとっては、珍しい。



『…どうしたの？』
「いや、別に」


フっと笑う篤人。
その目は、とても優しくて。





「Aは、寝な」
『…うん』



再びフっと笑い、私の頭を優しく撫でる篤人。




大好きな手。
大好きな人。




その手の心地よさに、瞼が自然と重たくなる。



篤人の手の温もりに幸せを感じながら、また深い眠りに引き込まれた。









「A。この前のシャルケの試合、観に行ってたの？」


顔をパックしたままの晴が、パソコンの画面に映った。




『晴、怖い 笑』
「いつまでも若い訳じゃ無いからね。今から、念入りにやっておかないと」
『日本はもう夜中か』
「そ。一番のリラックスタイム」
『リラックスしすぎだよ 笑』
「パックをしながら、親友とくだらない話しで盛り上がる。一番のリラックスだと思わない？」
『確かに 笑』



パック中の晴と、他愛の無い話で盛り上がる。


上司が今日は珍しく機嫌よかった、とか
駅前に雰囲気のいいカフェが出来たから帰国したら一緒に行こう、とか
今日からデトックススープダイエットを始めた、とか


そんな話で、気がつけば1時間以上も経っていた。



「さっきの話なんだけど。この前Aは、試合観に行ってたの？」
『行ってないよ。翠さんと、ドイツ人の友達の家で試合を観てた』
「そうなんだ」
『どうして？』
「シャルケの試合を観に行った一般人のツイートで、試合が終わった後観客席にいた女の子にウッチーが着ていたユニフォームをあげたって、少し話題になってたから…」
『ふーん』
「気にならないの？A」
『うん。全然』
「彼女の余裕か 笑」
『あはは。日本から来た知り合いの人の彼女かもしれないし、友達かもしれないし。そんな事でいちいち不安になってたら体が持たない。篤人、モテモテだから 笑』
「Aにメロメロだもんね、ウッチー」
『うん 笑。そういえば、晴に見て欲しいのがあるの』
「おじさんのマフラー？上手いじゃん」
『あっという間に編んじゃった 笑。篤人のは、もっと上手に編めると思う』
「おじさんもウッチーも、喜ぶ顔が目に浮かぶ」
『喜んでくれるかな、篤人』
「間違いないね」


スカイプを切った後近所の郵便局に行って、お父さん宛に荷物を送った。




篤人のマフラーは、それから3日後に出来上った。

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