わからないこと(霧野side) ページ13
小鳥のさえずる朝。
まださほど気温も上がっていなくて、清々しい朝だ。
蘭丸)｢…遅い｣
俺は道路の壁に背を向けて、空を見上げながら呟いた。
その瞬間
バシッ
蘭丸)｢…いっ…｣
物凄い勢いで、俺の左頭部に何かが直撃する。
そちらに恨みのこもった視線を向けると
あ)｢悪かったわね、遅くてっ｣
ぷくーと頬を膨らまして、しかめっ面をしているAが立っていた。
蘭丸)｢…何をぶつけた?｣
一応聞いてみる。
あ)｢これっ!｣
Aが誇らしげに掲げたのは、ゴムボール。
聞かなきゃ、良かった。
蘭丸)｢…もしかして、それ探してて遅くなった、とか？｣
あ)｢へ?何でわかるの?｣
驚いたように目を大きく見張る。
蘭丸)｢やっぱりか…｣
Aはそういう奴だ。
あ)｢何がやっぱり?｣
首をこれでもかというくらいに右に傾げるAに
蘭丸)｢……凄いことを言ってやろうか?｣
悪戯っぽく俺は笑いかける。
あ)｢へ?何々?｣
興味津々とばかりに俺を見るAに向けて
蘭丸)｢お前、弁当忘れてないか?｣
人差し指を立てる。
あ)｢あっ!｣
途端Aは慌てたように家に入っていった。
蘭丸)｢……｣
そそっかしいというか、何というか。
思わず口元が緩みかけた時
あ)｢ごめん、ごめん。うっかりしてた。ちゃんと持ってきたよ｣
片手に弁当箱を持ち、ニコニコと笑いながらAが現れた。
…─これだけ
…──お前のことがわかるのに
蘭丸)｢……｣
あ)｢どしたの?｣
蘭丸)｢……いや、何でもない｣
あ)｢そう??｣
蘭丸)｢……｣
…─お前が
…──俺のことをどう思ってるかということだけが
蘭丸)｢……｣
…─わからない
あ)｢って、早く拓人迎えに行かないとまた例の先生みたいな小言言われるよ!｣
蘭丸)｢…お前、それ、神童に言ってやろうか？｣
あ)｢と、とにかく、早く行こう!!｣
話題を素早く変えるなり、Aは、早足で歩きだした。
蘭丸)｢…全く｣
俺は小さく呟いて
蘭丸)｢…俺を置いていくなよ｣
小さく走ってAの隣に並んだ。
俺はAの横顔を盗み見て
蘭丸)｢はぁ…｣
俺はAに気付かれないように、ため息をついた。
…─お前さ、俺のこと、どう思ってる？
その横顔に、聞きたくても、聞けないことを、心の中で尋ねながら。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うちわ(プロフ) - ともさん» 楽しんでもらえたでしょうか？最近蘭丸くんがテレビで見れないので蘭丸くん不足です(笑)わざわざコメントありがとうございます(^∇^) (2014年6月7日 7時) (
レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)
とも - 面白いです！蘭丸神〜〜〜：＼>^<／: (2014年6月7日 1時) (レス) id: 6e83440222 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - みゆさん» そうなんです＾＾泣き虫な俺と強いキミでは、神童君を補佐しているけれど、こっちでは神童君が霧野君を補佐しているという…。評価ですか！？ありがとうございます＾＾ (2012年8月19日 10時) (レス) id: e04007d543 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 林檎酢(っω・｀)さん» いえ、前から悩んでいたことなんです(￣〜￣；)パクりとか思われるのも、嫌でしたし… (2012年6月5日 7時) (携帯から) (レス) id: ce3f68a234 (このIDを非表示/違反報告)
林檎酢(っω・｀)(プロフ) - うちわさん» わわっ！すいません、そんな意味で言ったつもりはなかったです…。消したら私しんじゃいます！どうか消さないで下さい＞＜ (2012年6月5日 6時) (レス) id: 8663c02bbf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うちわ
| 作成日時：2012年4月10日 22時
