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「どんなAでも、俺はAの事を愛せるよ。」なんて恥ずかし気も無く言い切った蘭。
まだ、その言葉に対しては半信半疑ではあるものの少しくらいは信じていいかな、と思っている私が居た。
結局、私は胃潰瘍で1週間ちょっと入院する事になり、病室の中で暇を持て余した日々を過ごしている。けれど、蘭は毎日のように病室に足を運んで私と少しでも長い時間を一緒に過ごそうとしてくれていた。
嬉しい半面……呆れている所もある。春ちゃんからメッセージが来て「お前の旦那がまぁた、仕事押し付けて帰りやがった。ちゃんと説教しとけよ。」なんてお怒り文が私の元へ届いてきている。
蘭は私が何も知らないと思って、何食わぬ顔をして病室に今も居る。
「春ちゃんが仕事押し付けられて困るって。メッセージ来たよ。」
「は?Aにチクるとか最悪。つーか、三途と連絡とるのやめてくんね?」
春ちゃんの名前を出した途端、嫌そうに顔を歪ませる。
「やだ♡春ちゃんは私の友達だし、浮気じゃないもん。」
「……俺が嫉妬で狂いそうだから極力控えて。鶴蝶と竜胆なら幾らでも連絡とっていいから、な?」
今まで私が嫉妬してたのも無視してたくせに、と内心毒づいた。私から友達を奪った自覚がようやく芽生えたのか、絶対に辞めろと強く言えないらしい。でも、あまりにも必死な蘭がちょっと可愛く思えた。
何だかんだ、私ってば蘭に甘いんだろうな。嫌な事ばっかりされ続けてきたのに、それを塗り替えようとしてくれている蘭が居る事に嬉しく思えてしまうのだから。
「そういえば、さっきここに来る前に医者と話してきた。順調に回復してるし、予定日に退院できるって。」
胃潰瘍になった原因は主にはストレスが原因だったらしいが、元々弱りかけていた胃に追い打ちをかけるように注ぎ込まれた大量のアルコールが吐血を引き起こしたようだ。久々にお酒を飲んで調子に乗った私は連日大量にお酒を飲んでいたから身体がおかしくなってしまったのも頷ける。
私も今回でちょっと酒に懲りた為、程々にする事を密かに誓った。
「そっか。じゃあ退院する日は絶対に迎えに来てね。蘭と一緒に家に帰りたい。」
「……ん、絶対に迎え来る。」
個室で私と蘭以外は居ないのに、躊躇いがちにゆっくりと顔を近づける。ギリギリまで互いに目を閉じる事はなく、触れるだけのキスを交わした。
幸せとか嬉しさとかよりも恥ずかしさが残る。そのせいで、瞳の奥が熱くなっていく感覚を覚えた。
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メイ(プロフ) - 最後まで読みました!!めっちゃ面白かったです!!ありがとうございました!! (4月14日 19時) (レス) @page50 id: 036127fc08 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - はるかさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️そう言っていただけてとても嬉しいです…!ありがとうございます。完結まであともう少しお付き合い下さい♡ (3月26日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - 作者から作品を探すぐらいさきなさんの書くお話が好きです。更新楽しみにしています。 (3月24日 1時) (レス) @page37 id: 2fa442bcb8 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - リハさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️とても嬉しいです♡更新ちまちま進めていきますね🫶🏻 (3月16日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
リハ - とても面白くて大好きです!更新ファイト❣️ (3月15日 22時) (レス) @page28 id: fb4d5611fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2024年2月23日 0時