Resolve ページ10
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“ 喧嘩賭博 ”
──てめえに五百円賭けてんだよォ！
──面白ぇ試合観せろやぁ！
──へばってたらぶっ殺すぞオラァ！
「…始めろ」
歓声が大きくなった瞬間。
「ちょっと待ったー!」
階段の後方から叫ぶ男がいた。
顔は傷だらけで目の周りは青く腫れている。
絆創膏やらガーゼやらで身体中痛々しい。
髪は金髪でガッチリ固められているが、いかにも喧嘩の弱そうな男。
周りからは罵声が舞う。
「…いやぁ、毎回毎回似たような試合じゃつまんなくないすか？
もっと面白ぇモン見たいっしょ」
そう言いながら彼は階段を下りていく。
「…もっと面白ぇモン？」
この喧嘩賭博の主催である男が睨む。
それに少しは怯むものの、足と口を動かす彼。
「…た…例えばさぁ…キング対奴 隷」
周りがざわつく中、彼はこう言った。
「キヨマサ先輩
タイマン、買ってくれよ」
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「後悔すんなよ」
その一言で始まったタイマン。
一発目の拳に反応することすら出来ず、まともに腹にパンチを食らった彼。
「どーうした？花垣ィ！」
「てめえ口だけかコラァ！」
「また一発で終わるんじゃねェだろうなァ！」
顔に二発入れられる。
「…武道…！」
脇腹、腹、顎、顔面。
次々と重い打撃を食らう武道。
赤髪のリーゼントの男──千堂敦がポケットに手を突っ込んだ後、何かを決めたように階段を下りていった。
「まだまだ…」
血だらけの武道は、まだ倒れない。
キヨマサは咥えていた煙草を捨て、笑った。
それにまた一層騒がしくなる外野。
「処刑！処刑！」と外野がコールする。
千堂がポケットに手を突っ込み、歯を食いしばりながら階段の下に辿り着いた。
そしてポケットの中から折り畳み式の刀を取り出した。
「キヨマサ…！」
すると、誰かに手首を掴まれた。
彼がその手の主を見ると、その人物は黒いコートを羽織っており、フードを被っていた。
黒いサングラスを掛けていることもあり、顔はよく分からない。
しかしその人物は周りの外野のように騒いではいなかった。
まるでこの人だけ別空間に居るような空気を漂わせていた。
「…あの」
千堂がその人物に話し掛けるも、黙ったまま動かない。
その間も武道はキヨマサに殴られ、蹴られ、血を垂れ流している。
すると、突然周りの歓声が止んだ。
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作者名：myu | 作成日時：2021年11月15日 0時
