Can't Turning Back ページ11
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何度殴られても、蹴られても、倒れない武道。
それどころか、キヨマサの胴体にしがみついて攻撃を抑えている。
そんな彼の姿を見て、外野は息を呑んだ。
「…まだ…まだ…だよ…」
それを見た武道の仲間は声を上げた。
「もういいよ武道！」
「マジで死んじまうぞ！」
「武道！もう止めろ！」
それでもふらつく身体をなんとか立たせて、口元には笑みを浮かべている。
「まだまだ…こんなんじゃ…
俺の十二年、ヘタレた心は…治らねぇんだよ…！
逃げて…逃げて…逃げて逃げて…」
今度は千堂が叫んだ。
「もう引けよ、武道ィ！
十分気合い見せたよ！」
「引けねぇんだよ!」
その言葉に誰もがハッとした。
「引けねぇ理由があるんだよ！
東京卍會…！キヨマサ…！
勝つには俺を殺すしかねぇぞ…！
絶対ェ負けねぇ…！」
涙を浮かべながらそう笑った武道。
「バット持ってこい！
上等だァ！殺してやるよ」
キヨマサがそう言った。
刹那、千堂の隣にいた人物が動いた。
そのままキヨマサの正面に立った。
武道を庇うようにして。
「あ？なんだてめえ」
イラついているキヨマサはその人物に咄嗟に殴り掛かった。
…が、殴り飛ばされたのはキヨマサの方だった。
外野がザワつく。
「…キヨマサの攻撃が…当たらない…？」
「むしろキヨマサに拳入れてるよ…！」
キヨマサの口の端から血が出ている。
「…ふぅ、大丈夫？」
その人物は、武道の方を振り返って優しく訊いた。
そして、フードを外し、サングラスをコートのポケットに突っ込んだ。
周りが、誰だあいつ？とボヤく。
そんな中、山岸が目を見開いた。
「…嘘だろ…
…薄紫色の髪…深い藤色の瞳…
両耳に三日月形のゴールドピアス…
正体を知る者はほとんど居ないから、都市伝説だと称されてきた、伝説の人物…！」
そのまま、山岸はこう言った。
「…紫月…A…！」
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作者名：myu | 作成日時：2021年11月15日 0時
