ヒーローは何者なのか ページ31
Aは建物を出て、歩き出した。
滞在時間は約三十分。
花束を机の上に残して、Aはまたヨコハマの街を歩き始めた。
暫く歩いていると、小さな声が聞こえた。
Aが首を傾げて、その声のする方へ向かう。
路地が入り組んだ道。
迷路のように複雑な道で、迷い込めば大通りに出るのは容易ではない道。
両端は建物の壁。
道の幅は一・五米ほどしかなく、圧迫感が耐えない。
ゴミや埃、小さな虫が混在する、とても衛生的とは言えない地面。
そこに、一人の少年が居た。
その少年は、膝を抱えて蹲っていた。
Aが聞いた声はこの少年の泣き声だった。
Aは片脚を着いて、出来る限り優しい声色を出した。
『君、大丈夫？』
警戒されないように少しの距離を保って少年を見た。
すると、少年はゆっくり顔を上げた。
目は、涙を擦ったのか赤くなっており、顔は涙と鼻水でグチャグチャだった。
Aは肩から下げている鞄からティッシュを取りだし、少年に渡した。
少年はそれを手に取りじっと見詰めてから云った。
「……ありがとう」
Aはニッコリ笑った。
「………お姉さん…だぁれ？」
少し落ち着いたのか、少年が訊いた。
『私？私はね〜』
Aは顎に手を当て、考えた。
何と答えるべきか。
そしてAは答えた。
『……困っている人の味方だよ』
「……ヒーロー？」
少年は首を傾げて訊いた。
Aは答えに困った。
自分はヒーローなんかじゃあない、その思いが頭を過ぎったからだ。
『………うん…そうだよ』
Aは不器用な笑顔を浮かべて見せた。
「じゃあ…僕のことも助けてくれる…？」
少年はAの瞳を見て云った。
『うん、勿論』
「じゃあ、僕をお家に連れて行って」
Aは笑顔で頷いた。
すると少年はAの手を握り、走り出した。
『あっ、ちょっ！』
急に腕を引っ張られて多少バランスを崩したAだったが、それもほんの一瞬。
少年の小さな背中に着いて行った。
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かなこ - 中也❤愛してるぅ (2021年11月19日 14時) (
レス) @page3 id: 84f9a9af20 (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - RENKAさん» 本当ですか！！めっちゃ嬉しいです〜♡ありがとうございます！今後ともよろしくお願いします♡ (2021年11月7日 14時) (レス) id: 008ae2747a (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 最初から見させていただいてます！読みやすくて面白くて最高です！ (2021年11月7日 1時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - あいでっとさん» コメントありがとうございます！シリーズ3の話がいっぱいになりましたらこちらに移行しますね！もう少しシリーズ3をお楽しみ下さいませ！ (2021年8月23日 17時) (レス) id: 008ae2747a (このIDを非表示/違反報告)
あいでっと(プロフ) - 早く見たい…← (2021年8月23日 17時) (レス) id: 81182bc18e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：myu | 作成日時：2021年8月23日 13時
