要件を伝えに ページ42
『え！？首領、正気ですか？』
森がQを解き放つと言い出し、Aの大きな目は更に開かれた。
「嗚呼勿論、手段を選んでいる暇は無いからね」
森は不気味な空気を醸し出して云った。
『……そうですか、では手配致します』
.
『久しぶり、久ちゃん』
Aはとある牢へ向かった。
「A…お姉ちゃん…？」
『そうだよ、貴方に仕事が回ってきた』
Aは色の無い声で鍵を開ける。
「本当？僕にも出来る事？」
Qは目を輝かせて訊いた。
『そう、貴方にしか出来ない仕事』
.
『(来るのが遅いんだよ)』
次にAが向かった先はとある駅の近くの廃工場。
心の中でそう呟き、樋口と銀に行くよ、と合図を送る。
「此処なら人目も無い、出て来たら？A」
その声に銀が太宰の背後から首筋に刀を添える。
「やァ銀ちゃんか、背伸びたね」
ﾁｬｷ___
無機質な音と共に樋口に銃を向けられた太宰。
『貴方を護る為に此処へ呼んだんだよ？』
「それは私に会いに来てくれたという事で良いよね？」
コツコツと跫音を鳴らしながら太宰に近づくA。
「で？要件は？」
「この銃が要件だとは思いませんか？」
「思わないねェ…
暗殺部隊にしては人選が半端だ
それに、私の暗殺にAを寄越す筈が無い
銀ちゃん、危ないからこれ下げてくれる？」
銀と樋口が武器を仕舞う。
「確かに要件は別です
首領より伝言を預かって来ました」
「へぇ〜森さんから？何かなぁ」
太宰君、ポートマフィアの幹部に
戻る気は無いかね?
「ぶふっふふ、ふははははは！」
太宰は吹き出した。
Aはその姿を光の無い瞳で見つめる。
「いやぁ、実におめでたいお誘いだ」
Aが太宰を見据える。
『太宰、アンタの血はマフィアそのものだよ
自分でも判っているよね？』
「じゃあA、君の血は探偵社そのものだ
私と一緒に探偵社で働くのは如何かな？」
『今アンタの話してんだけど？』
「…人は変わるものだ
現にそこの銀ちゃんだって、昔はこーんなに小さくて可憐な少女だったのだよ？」
「話を摩り替えないでください」
樋口がその会話を聞いて驚いている。
「Aも、昔はあんなに可愛かったのに今もこーんなに可愛いのだよ？」
『日本語可笑しいよ
てか、話しを摩り替えないでってば！』
凡百人間に忌み嫌われる異能力→←まだ決意を固めるには早すぎる
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作者名：myu | 作成日時：2021年7月28日 23時
