彼を探すのはいとも簡単で ページ18
「夜は善い、マフィアの時間だ」
「これから如何する」
「如何したもんかねェ…
それにしても災難だったね
敵のボスに会うなり熱烈な求愛を受けるなんて」
「死に値する場所を探す為に戦場を求めるなんて変な奴らだ」
「そうかい？死に方に工夫を凝らしたいなんて私には無い発想だよ」
織田と太宰はとある路地を並んで歩いていた。
織田は美術館で芥川を助け、ジイドと交戦した。
ジイドは織田に、自分を殺してくれと懇願した。
が、織田はそれを断ったのだ。
「…この抗争は何時まで続く？」
「ミミックの兵士は兎も角、指揮官の異能力が厄介だね、奇襲が効かない
…となると、内部の情報が必要だ
心当たりは有るかい？」
静かに太宰が織田に訊く。
「……安吾しか居ない」
「…私も同意見だね」
2人の意見は一致したようだ。
「…安吾を探す方法は無いものかなぁ」
「有る」
「有るのか？」
今度は織田が太宰に訊く。
「正確に云えば、探し出す必要すら無い」
そこで太宰の脚が止まった。
「…此処か」
「他にあるかい？」
2人の目の前の店の看板には『Lupin』の文字が。
2人はゆっくりとした足取りで店内に入った。
「やァ、どうも、お先にやってますよ」
案の定、彼はそこに居た。
まるで普段の彼と変わらぬ様子で何時ものカウンター席に座っていた。
そして織田と太宰も何時もの席に腰掛ける。
「僕はツイてる、此処で飲める事はもう無いと思っていました」
「潜入捜査官にしては随分と
太宰は薄ら笑みを浮かべながらツラツラと話し始めた。
内容はこうだ。
安吾にはポートマフィアに入る前から別の顔があった。
…それは国の秘密期間_内務省異能特務課の
任務はポートマフィアの動向の監視、国内の異能力者を統括する秘密組織と云えど、ポートマフィアと全面戦争となれば只では済まない。
そもそも特務課の任務は異能力者の管理であり、殲滅じゃあない。
だからポートマフィアに代理人を潜入させ、動向を監視させていた。
…そしてそこにミミックの話が持ち上がった。
日本上陸を計画していた異能犯罪組織は特務課からしても頭の痛い存在だ。
それで、安吾にミミックの動向を探らせる事にした。
ポートマフィアの
「…詰まり安吾は二重間諜では無く、三重間諜だったって云う訳か」
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作者名：myu | 作成日時：2021年7月28日 23時
